内閣府は11月、企業版ふるさと納税(地方創生応援税制)の対象事業の第2回認定を行いました。第1回認定と合わせて、現在157事業が対象となっています。企業版ふるさと納税は、寄附を通した企業の積極的な参画を促進することで、地方創生の取り組みを加速化しようとする制度です。今回はこの企業版ふるさと納税について紹介します。
制度概要とメリット
企業版ふるさと納税は、地方公共団体が行う地方創生事業であって内閣府の認定を受けたものに対して企業が寄附を行うと、最大で寄附額の約6割に相当する額が法人関係税で軽減される制度です。これまでも、地方公共団体に対する寄附は全額が損金算入されるため、寄附額の約3割(実効税率に相当)に相当する額が軽減されていましたが、企業版ふるさと納税では3割の税額控除も合わせて受けられるため、税負担の軽減効果が2倍となります。また、地方創生という社会的課題に対して寄附を行うことにより、社会貢献のPRができ、企業のイメージ向上につながるというメリットもあります。
さらに、寄附を通じて企業と地方公共団体の間に生まれた新たなパートナーシップをきっかけに、地域素材を活用した新商品の開発、事業所などの進出、優秀な地域人材の確保などにつながることも期待できます。
動き出した取り組み
既に動き出している事業もあります。
北海道夕張市では、財政再建に取り組みながらも、人口の急減に対応するべく、児童館、図書館、体育館などの多機能を備える拠点施設を整備し、まちのコンパクト化を推進する事業などについて認定を受けました。この事業に、これまでも夕張市にさまざまな支援を行ってきた株式会社ニトリホールディングスが、4年間で5億円の寄附を決めました。
長崎県では、県内で就職することを条件に奨学金返済を支援する事業、県立大学における実践的教育を推進する事業について認定を受けました。この事業に、チューリッヒ保険会社をはじめ、長崎にオフィス・工場などがあり、優秀な人材を確保したい企業が寄附を決定しました。
増える対象事業
第2回認定では、福島県が全天候型サッカー場を整備し、双葉地域への来訪者の増加と雇用の創出を図る事業について認定を受けました。この事業は、スポーツ振興であるだけでなく、東日本大震災後、原発事故収束の対応拠点となり使えなくなっていたサッカーナショナルトレーニングセンター・Jヴィレッジの全面再開に合わせて行われるものでもあります。
このように、今後も幅広い分野において、認定事業は増えていく予定です。
企業の皆さまには、ぜひ積極的な活用をお願いします。
最新号を紙面で読める!