わが国経済の好循環を実現するためには、「下請等中小企業」の取引条件を改善することが重要です。本コーナーでは、価格交渉力の強化に向けて、どのような取引行為が親事業者の法令違反に該当する恐れがあるのかなどについて解説します。今回は「合理的な説明のない価格低減要請」についてご紹介します。
合理的な説明なく値下げ要請を受けた場合の対応は?
発注者が、自社の予算単価・価格のみを基準として、通常支払われる対価に比べ著しく低い取引価格を不当に定めることは、下請代金支払遅延等防止法(下請法)や独占禁止法に違反する恐れがあります。
【チェックポイント】
□発注者の事情のみをもって、価格の引き下げが要請されていませんか。
□不況時や為替変動時に、協力依頼と称して大幅な価格低減が要求されていませんか。
□品質が異なる安価な海外製品を引き合いに、取引価格が引き下げられていませんか。
□現場の生産性改善など、コスト削減に向けた発注者による協力がないにもかかわらず、受注者の努力によるコスト削減効果を一方的に取引対価へ反映させられていませんか。
【相談事例】
Q.取引先から予算単価のみを基準とした価格の低減要請を受けて対応に悩んでいます。現状の価格維持も厳しい状況であり、何とか価格の引き上げに向けた交渉を行いたいのですが、どのように発注者側と交渉をしたらよいのか、対応の仕方を教えてください。
A.合理的な根拠を基に、取引価格を設定することが重要です。発注者側から求められた品質水準を満たすためには、①コストに関する客観的なデータを提示し、価格根拠を上手に伝えること、②取引条件に関するルールを策定するとともに契約書・見積書にそれを明記し、価格設定方法などについて合意をとっておくこと、③合意に際しては、「日時」「場所」「データを説明する者またはデータの説明を受ける者(自社・取引先双方)」「方法(対面・電話など)」を書面(議事録など)で残しておくこと、が肝要です。
【個別相談指導のご案内】
〇専門家が相談企業へ出向いて、取引先との価格交渉を行う際のノウハウなどについて指導します(1回の指導は最大6時間まで。費用は3回まで無料)。
〇詳細は(公財)全国中小企業取引振興協会「価格交渉サポート相談室」へ。
TEL:0120-735-888
http://www.zenkyo.or.jp/kakakusupport/index.htm
提供
公益財団法人 全国中小企業振興機関協会
下請取引適正化の推進を目的に、全国48カ所に設置された「下請かけこみ寺」を中小企業庁の委託により運営するなど、中小企業支援機関として各種事業を実施しています。http://www.zenkyo.or.jp
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