世界経済が直面するリスクに立ち向かい、あらゆる政策対応を行うことを、G7伊勢志摩サミット、そして先週開催されたG20サミットで合意しました。秋の臨時国会に、事業規模28兆円を上回る、力強い経済対策を執行するための補正予算を提出いたします。「未来への投資」を皆さまに果敢に行っていただくため、その早期成立を図ります。
日本経済を支えているのは中小企業の皆さんです。中小企業が元気にならなければ、日本は元気になりません。意欲的で成長のポテンシャルがある中小企業の「稼ぐ力」を強くします。
新たに投資した設備の固定資産税を半減させる「中小企業等経営強化法」が本年7月に施行されました。商工会議所の皆さまにもご支援いただき、早速、500件近くの「経営力向上計画」を認定しています。今後、認定企業に対する低利融資など、支援施策の拡充に取り組みます。
下請取引の条件改善にも、全力で取り組みます。昨年度末には大規模な調査を行い、これを踏まえて主な業種で個別にヒアリングを行いました。
一連の調査で明らかになった取引慣行の課題が現実に改善されるよう、下請法や独占禁止法の運用を強化し、業種別のガイドラインを充実させます。商工会議所の会員の方々への浸透をはじめ、着実に結果が出るよう、しっかりと取り組んでいきます。
「働き方改革」は、安倍政権の最重要課題です。長時間労働の是正のための制度改正を実施します。女性や高齢者が働きやすくなりますし、企業の生産性が上がることが期待されます。
同一労働同一賃金のための法改正など非正規労働者の処遇を改善していきます。これにより、消費が拡大し、多様な働き方が可能になります。
人手不足の中で納期に追われている中小企業の皆さまにとっては簡単なことではないと思います。しかし、政府としても、皆さまが取り組みやすいよう、環境整備に努めてまいりますので、ぜひ、ご協力いただきたいと思います。こうした働き方改革を進めることで、皆さまと共に日本の未来を切り開いていける。そう信じております。
9月12日に、成長戦略の新たな司令塔となる「未来投資会議」を開催しました。近年の目覚ましい技術革新を社会に取り入れることで、国民生活を豊かにしながら企業の生産性を向上させる。その具体策を皆さまと共に検討したいと思います。
新興国においては、一時期よりも経済が減速していますが、中間層のニーズに合う、一味違った製品やサービスには、必ずチャンスが開けると確信しています。
TPPは、価値が正当に評価される自由で公正な競争を促します。新たなルールの下で、地方の特産品や独自の技術で果敢に海外市場に挑戦する農家や中小企業が、大いに活躍できます。農産品や中小企業の製品などの海外展開を支援する取り組みにも期待しています。
TPPに参加している国々の間では、特定のしっかりとしたルールによって守られる中において、大企業しかできなかった海外への進出が、しっかりと付加価値ある製品をつくっている、技術のある中小企業にも大きく道が開かれている、このように私は確信をしております。しかし、中小企業の皆さんが進出していくのは大変ですから、その時こそ、商工会議所の皆さんにも力を貸していただきたい、国もしっかりと支援をしていこうと考えているところであります。
臨時国会では、TPP協定の早期の国会承認が得られるよう、政府を挙げて取り組んでいきます。わが国が率先して動き、早期発効の機運を高めたいと思います。
4年後の2020年は、日本がオリンピック・パラリンピックの舞台となります。東京オリンピック・パラリンピックに向けて、ますます多くの外国人観光客が日本を訪れることを期待しています。日本のこのチャンスを、東京だけでなく全国に広げていきたいです。
外国の方々にもっと快適に旅行を楽しんでいただけるよう、インフラ整備を加速します。大型クルーズ船受け入れのため港湾を整備し、首都圏や地方の空港の機能を強化します。リニア中央新幹線の開業を最大8年間前倒しし、整備新幹線の建設を加速します。
全国を一つの経済圏に統合する「地方創生回廊」を一刻も早く実現することで、「東京にないものがある」という日本の地方の魅力を、外国の方々に存分に見いだしていただきたいと思います。
中小企業が元気になっていくことで、日本経済は成長していきます。三村会頭のリーダーシップの下、日本商工会議所の皆さまにおかれましては、今後とも、地元経済の発展のためにご活躍いただきたいと思います。
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