現在、世界経済全体は堅調な展開を続けており、わが国の景気の足取りも順調だ。わが国経済は2012年11月に底を打って以降、戦後2番目に長い景気回復の中にある。それにもかかわらず、日本銀行は現在の金融緩和策を続ける姿勢を変えていない。理論的に考えると、景気が回復しているのであれば、金融政策は引き締め方向に向かってもおかしくはないだろう。
米国の連邦準備制度理事会(FRB)は、危機対応を念頭に置いた政策(量的緩和策)からの脱却を開始する。ユーロ圏の欧州中央銀行(ECB)も、量的緩和の段階的な縮小を進める可能性がある。いずれも、物価の水準は中央銀行の目標水準を下回っている。国内では「物価目標の達成のためにさらなる緩和が必要」との意見もあるが、日銀の金融政策が限界を迎えたと考えられる中、今後は政策の柔軟性を念頭に置いた議論が進められるべきだろう。
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