わが国経済の好循環を実現するためには、「下請等中小企業」の取引条件を改善することが重要です。本コーナーでは、価格交渉力の強化に向けて、どのような取引行為が親事業者の法令違反に該当する恐れがあるのかなどについて解説します。今回は「型の無償での保管・管理」ついてご紹介します。
金型の無償保管を強要された場合の対応は?
量産後の補給品の支給などのため、発注者が受注者に対して、長期にわたり使用されない型を無償で保管させるなど受注者の利益を不当に害することは、下請代金支払遅延等防止法(下請法)や独占禁止法に違反する恐れがあります。
【チェックポイント】
□長期にわたり使用されない型を、無償で保管・管理させられていませんか。
□当初は想定していなかった、保管に伴うメンテナンスなどを無償でさせられていませんか。
□発注者は、型の廃棄申請に応諾していますか。また、明確な返答を受け取っていますか。発注者が応諾した場合、破棄費用は支払われていますか。
【相談事例】
Q.取引先が所有する金型の貸与を受けて部品の製造を行っていますが、量産終了後、補給品の供給などのため金型の保管を無償でさせられています。大きな金型については、自社の倉庫には入りきらず別途倉庫を借りており、その倉庫費用の負担が重くのしかかっています。型の保管・管理について、どのように取引先と交渉をしたらよいでしょうか。
A.量産終了後の型を、一定期間を越えて無償で保管しないように交渉することが大事です。交渉に当たり特に注意すべき点は、①型の保管に必要なコストを明確にし、発注者が費用を負担するか、引き取りまたは破棄を要請すること、②量産が終了した補給品の単価を、量産時とは異なる条件を加味しながら合理的に設定すること、③新規取引では、型の保管基準を明確にした契約書の締結を要請するとともに、合意に際しては、「日時」「場所」「担当者(自社・発注者双方)」「方法(対面・電話など)」や交渉経緯などを書面(議事録など)で残しておくこと、です。
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〇詳細は(公財)全国中小企業取引振興協会「価格交渉サポート相談室」へ。
TEL:0120-735-888
http://www.zenkyo.or.jp/kakakusupport/index.htm
提供
公益財団法人 全国中小企業振興機関協会
下請取引適正化の推進を目的に、全国48カ所に設置された「下請かけこみ寺」を中小企業庁の委託により運営するなど、中小企業支援機関として各種事業を実施しています。http://www.zenkyo.or.jp
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