日本商工会議所は6月18日、西村康稔経済財政政策担当大臣との意見交換会を都内で開催した。日商側からは、新型コロナウイルスによる中小企業の経営への影響、最低賃金、大企業と中小企業の新たな共存共栄関係、パートナーシップ宣言、感染予防と経済活動の両立について発言したほか、対策執行状況などに対して要望した。
意見交換会には、日商から三村会頭はじめ、尾崎裕副会頭(大阪・会頭)、山本亜土副会頭(名古屋・会頭)、上野孝副会頭(横浜・会頭)、塚本能交副会頭(京都・会頭)、家次恒副会頭(神戸・会頭)、福田勝之副会頭(新潟・会頭)、岩田圭剛副会頭(札幌・会頭)、藤永憲一副会頭(福岡・会頭)、泉雅文副会頭(高松・会頭)、池田晃治副会頭(広島・会頭)ら14人が出席した。副会頭はオンラインで参加。政府側は、西村大臣はじめ、宮下一郎副大臣、神田憲次政務官ら内閣府幹部7人が出席した。
三村会頭は、足元の経営課題や中小企業の現況について説明した上で、家賃支援など、第2次補正予算で商工会議所の意見が盛り込まれたことに対して謝意を示すとともに、困窮する事業者の心が折れず、この正念場を乗り超えて事業継続できるよう、さらなる手続きの簡素化など一層の執行の迅速化を要望した。また、第2波、第3波の感染拡大への対処が重要と強調。再度の経済収縮を防ぐため、国としてのBCPの観点から必要な財源を投入し、数値目標やスケジュールを明確に掲げ、積極的な予防の観点からも検査・医療体制の拡充を求めた。
最低賃金については、現在の危機的な状況下の最優先課題は雇用維持と事業継続であり、本年度の最低賃金の引き上げ凍結を改めて要望。「中小企業が賃上げの原資となる付加価値を上げられるよう、取引適正化や生産性向上などの環境整備が先決」と訴えた。
取引価格の適正化による付加価値向上については、コストアップ分をサプライチェーン全体で適正にシェアする取引価格の適正化、知財・契約面での不公正な取引の解消など、取引構造の見直しを推進する必要があると言及。大企業と中小企業の新たな共存共栄関係を築く「パートナーシップ構築宣言」の賛同企業を増やしていきたいとの考えを示した。デジタル化や設備投資の推進による生産性向上については、中小企業が使いやすい施策の拡充を要請した。
西村大臣は、緊急事態宣言を解除したが、流行の大きな波としないよう感染防止策をしっかり講じることが重要との認識を示した。「事業者は引き続き業種別ガイドラインに基づき、業種の実態に即して徹底した感染防止策を講じてほしい」と述べるとともに、政府としても、ガイドラインに沿った感染防止対策の投資に対し、持続化補助金の上限を引き上げ、支援していく考えを示した。さらに、行政分野をはじめとするデジタル化の遅れ、女性や高齢者など弱い立場の人へのしわ寄せ、通勤時の満員電車での感染リスクなど、わが国の弱点が浮き彫りになったと指摘。「ベンチャーや新たなビジネスへの挑戦にはJIC(産業革新投資機構)およびREVIC(地域経済活性化支援機構)などによる6兆円規模の出資やファンドを通じた支援に取り組む」と前向きな動きにも言及し、コロナ禍を社会変革の契機と捉え、日本社会を10年分前進させる改革を一気に進めると表明した。
そのほか、日商側から、感染予防と経済活動の両立支援や、検査・医療提供体制の充実、デジタル活用・実装、サプライチェーンの再構築、中小企業のビジネス変革支援、新しい観光・需要回復における課題などについて発言した。
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