Q 3月決算法人である当社は昨年12月に今年1年分(平成26年分)の駐車場代を支払っており、短期前払費用として当期に全額損金算入する予定です。4月分以降は8%の消費税が課されていますが、どのように処理すればよいでしょうか。また、決算にあたり、どのような点に注意すべきでしょうか。
A 短期前払費用の処理は、増税分を仮払金とする方法(処理1)と、一旦税額控除する方法(処理2)の2通りが考えられます(具体的な処理は表1を参照)。3月決算法人の場合、消費税の申告書が8%の仕入税額控除に対応していないため、翌期で調整し控除することになります。
新様式の申告書は4月決算法人から
平成26年4月1日から消費税率が8%に引き上げられ、はや1カ月が経過しました。3月決算法人の申告はこれから随時行われていきますが、3月に公表された新様式の申告書(※)はまだ利用しません。この申告書は、平成26年4月1日以後に終了する課税期間から適用されます。
新様式では、従来の国税である3%、4%の区分に加え、今回の改正の6・3%の区分が設けられ、それぞれ課税標準および税額を区分して計算します。
短期前払費用の損金算入
ご質問の処理では、次の方法が考えられます。なお、前提は次のとおりです(経過措置の適用はありません)。 駐車場の月額賃料2万円(税抜価格)。
年間支払金額 25万7400円
・1~3月の月額賃料
2万1000円(5%税込価格)
・4~12月の月額賃料
2万1600円(8%税込価格)
請求書は消費税率の記載が適正か確認を
課税売り上げ側と課税仕入れ側の計上基準が異なる場合でも、消費税については、両事業者間で同税率での負担で消費税を認識することが要請されています。具体的には、仕入税額控除により消費税の転嫁が行われます。
したがって、課税売り上げ側が発行する請求書に基づき、課税仕入れ側は仕入税額控除を行うことになりますが、実務上は、その発行された請求書に記載された消費税率が適正かどうかを確認する必要があります。適用税率における不明点(見積もり・納品書との差異など)がある場合や税率が明らかでない場合も考えられますので、特に4月以降に発行された請求書については留意が必要です。
リース取引は注意が必要
ファイナンス・リース取引は、契約日ではなく、引き渡しの日における税率が適用されます。施行日前の引き渡しについては、平成26年4月1日以後も数年にわたり旧税率で請求されるため、新税率のものと区別して管理する必要があります。賃貸借処理をしている中小企業は、毎月の支払いの都度、旧税率を適用することになります(表2参照)。特に注意してください。 (税理士 島田 哲宏)
お問い合わせ
会社:Supported by 第一法規株式会社
住所:東京都港区南青山2-11-17
電話:03-3796-5421
最新号を紙面で読める!