日本政策金融公庫(日本公庫)はこのほど、「取引先海外現地法人の業況調査」の結果概要を公表した。同調査は、海外に現地法人を有する日本公庫の取引先企業693社が回答。現状の収支、今後の見通し、投資有望国・地域などについて聞いている。本稿では、結果概要を紹介する。
■ASEANの概況
ASEANは、直近決算期の損益が「黒字」の企業の割合が前回調査の40・2%から43・4%に増加するなど足元の損益に改善の動きが見られる。今後の予想売上高について「増加」と答えた企業の割合は前回調査(2016年6月実施)の51・2%から63・7%へと大幅に上昇。当面の経営方針で「事業拡大」と答えた企業の割合も54・3%から57・2%に増加しており、高い水準となっている。ただし、資金調達を予定している企業の割合は23・1%から24・0%への微増にとどまっており、資金調達に対する慎重な姿勢もうかがえる。
■中国の概況
中国は、足元の損益は比較的堅調に推移しており、予想売上高が「増加」と答えた企業の割合は前回調査の38・6%から50・0%へと大幅に上昇。当面の経営方針で「事業拡大」と答えた企業の割合も33・0%から35・1%へと上昇に転じるなど、先行きに明るさも見られつつある。ただし、その水準はASEANに比べて低く、資金調達を予定している企業の割合についても、10・9%から12・9%に増加したものの、引き続き非常に低い水準となっている。
■中期的な投資有望国
中期的な事業展開先として投資有望な国・地域は、4年連続でベトナム(24・9%)が1位となった。中国(10・7%)が2位に上昇し、以下、タイ(8・6%)、インド(7・9%)、インドネシア(7・7%)の順となっている。
有望視する理由を見ると、ベトナムは「労働力が低廉豊富」、中国・インドネシアは「現地市場の将来性が高い」、タイは「既存取引先が既に進出」がトップとなった。
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