日本商工会議所は8月4日、要望書「安倍改造内閣に望む」を取りまとめ、政府など関係各方面に提出した。同要望書では、「成長する経済」の実現に向けて、経済最優先で政策に取り組む方針を安倍首相が改めて表明したことを歓迎。「わが国経済の成長力の底上げに向けたビジネス環境の整備」「地方創生の早期実現と中小・中堅企業の活力強化」「人口減少対策の加速化と社会保障制度改革の断行による将来不安の払しょく」の3テーマについて、集中的に取り組むよう政府に求めた。
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同要望書では、経済最優先とする方針の徹底を求めるとともに、「足腰の強いわが国の経済基盤を構築すべく構造改革を実行し、その成果をもって国民の信頼を高めることが重要」と指摘。国民や企業の中に漂う将来不安を払しょくし、成長する経済を実現するためには、一部の人には痛みを伴う政策でもオープンな議論の下、丁寧な説明により国民の総意を形作り、改革を断行するよう求めている。また、日本の最重要課題である潜在成長率を高めるためには、「資本蓄積、労働力投入、生産性向上を推進し、外的ショックに耐性のある強い成長エンジンを構築しなければならない」と強調している。
具体的には、ICT、IoT、ロボット、AI(人工知能)の活用支援など、未来投資戦略の着実な推進を要望。さらに、国内投資機会の拡大に資する規制改革の断行、行政手続きの簡素化の推進を通じた生産性向上の徹底も求めている。
中小企業の最大の課題である人手不足の克服には、女性や高齢者、外国人など多様な人材の活躍推進に向けた方策の検討・実行を要請するとともに、中小企業の実態を踏まえた働き方改革の推進を要望している。企業の海外展開に当たっては、7月に大枠合意した日EU・EPAを11カ国での環太平洋パートナシップ(TPP)協定の早期発効といった他の広域経済連携の高い次元での協定締結につなげていくことを求めている。
地方創生の実現については、観光振興と農商工連携の推進やストック効果を重視した社会資本整備を要望。また、地域経済の底上げの主役となる中小・中堅企業の活力強化に向け、多くの経営者が引退期に直面する「大事業承継時代」を迎えていることから、円滑な承継を可能とする税制措置の抜本的拡充をはじめ、早期・計画的な事業承継の取り組みの後押しを要請した。
また、将来不安を払しょくするために、日本の歳出の柱となっている社会保障給付について、その重点化・効率化を指摘。高齢世代から現役・子育て世代への大胆な資源の再配分、高齢者の応能負担割合の引き上げなど、給付と負担の両面から思い切った社会保障制度改革を断行するよう求めている。
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