公正取引委員会では、今般の消費税率の引き上げに当たり、消費税の円滑かつ適正な転嫁を確保する観点から、消費税転嫁対策特別措置法で禁止されている消費税の転嫁拒否等の行為の未然防止のための取り組みと、転嫁拒否等の行為に対する迅速かつ厳正な対処のための取り組みを進めています。以下では、公正取引委員会における取り組みをご紹介します。
立ち入り検査も積極的に実施
1 消費税の転嫁拒否等の行為に対する迅速かつ厳正な対処のための取り組み
消費税転嫁対策特別措置法では、消費税の転嫁拒否等の行為として、事業者間の取引において、①いったん契約した金額を後になって減額するといった「減額」、②消費税率引き上げ後も、消費税率引き上げ前と同じ価格で納品させるといった「買いたたき」、③消費税の転嫁に応じる代わりに、商品を購入させたり、従業員を派遣させたりするといった「商品購入、役務利用又は利益提供の要請」、④本体価格(消費税抜きの価格)で価格交渉をしたいという売手側からの申出を拒否する「本体価格での交渉の拒否」、⑤公正取引委員会等に転嫁拒否等の行為を通報したことを理由として、取引を停止したりするなどの「報復行為」を禁止しています。
公正取引委員会は、転嫁拒否等の行為に対して、さまざまな情報収集活動によって把握した情報を踏まえ、立入検査等の調査を積極的に実施しており、違反行為が認められた事業者に対しては転嫁拒否等の行為に係る不利益の回復などの必要な改善指導を迅速に行っています。平成26年3月末までの対応実績は表1及び表2のとおりです。
また、公正取引委員会は、平成26年4月23日、消費税転嫁対策特別措置法の規定に違反する行為(買いたたき)が認められた大規模小売事業者に対して勧告を行い、その旨を公表しました。今後も、重大な転嫁拒否等の行為が認められた場合には勧告・公表を積極的に行うこととしています。
転嫁拒否等の行為を受けた事業者にとっては、自らその事実を申し出にくい場合もあると考えられることから、転嫁拒否等の行為の被害者からの情報提供を受身的に待つだけではなく、転嫁拒否等の行為に関する情報収集を積極的に行うこととしています。
公取委・中企庁合同で書面調査を開始
公正取引委員会は、平成26年度において、中小企業庁と合同で、①中小企業・小規模事業者等(商品・役務(サービス)の売手側)全体に対し、取引先事業者(買手側)から転嫁拒否等の行為を受けていないかを把握するための書面調査を実施するとともに、②大規模小売事業者及び大企業等(買手側)に対し、取引先事業者(売手側)に対して転嫁拒否等の行為を行っていないかを把握するための書面調査を実施しています。これらの調査票は公正取引委員会及び中小企業庁のHPにも掲載していますので、調査への回答にご協力をお願いします。
2 消費税の転嫁拒否等の行為の未然防止のための取り組み
公正取引委員会では、商工会議所などとも連携しながら、消費税の転嫁拒否等の行為の未然防止のための広報活動に取り組んでいます。平成26年度においても、新聞広告等の各種媒体を活用し、転嫁拒否等の行為に対して公正取引委員会が厳しく監視している旨等の周知や、書面調査の周知も行うこととしています。また、転嫁拒否等の行為について説明する公正取引委員会主催の説明会を全国各地で実施することとしています。
詳細は、公正取引委員会HPをご覧ください。
公正取引委員会HP
http://www.jftc.go.jp/tenkataisaku/「公取 消費税」で検索。
※本文中の意見にわたる部分は、筆者の個人的見解であり、筆者が所属する組織の見解を示すものではございません。
(公正取引委員会事務総局経済取引局取引部取引企画課課長補佐・武田雅弘)
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