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テーマ別企業事例 シニア市場に異変あり ひと味違う「健康長寿」ビジネス

事例2 100%オイルフリーのヘルシーおかきで海外需要を開拓

北海道米菓フーズ(北海道旭川市)

北海道の味にこだわった「焼きおかき」のラインナップ。海外では「中身が見えると安っぽい」と嫌われることから、主力商品にはアルミパッケージを使用

2011年に北海道旭川市で創業したおかきの専門メーカー、北海道米菓フーズ。業界初となる製造技術の開発により、油を一切使用しない焼きおかきの生産に成功し、国内のみならず、海外の健康志向のバイヤーからの受注が相次ぐ。現在11カ国へ輸出し、海外売上比率4割超を達成して、業績を伸ばしている。

健康志向から油を気にする人が増えている

せんべいとおかき、二つの大きな違いは原料だ。せんべいはうるち米、おかきはもち米でつくられる。おかきの一般的な製法は、もち米をついてもちにし、それを小さく切って乾燥させ、油で揚げてシーズニングパウダーで味付けをする。油を使わずに焼く場合、表面にシーズニングパウダーが付かないため、油をスプレーしてから味付けすることが多い。つまり、焼いたおかきでも油は使われているのだ。

近年、健康志向が高まるにつれて、油に気を遣う人が増えてきている。油は体に必要なエネルギー源だが、カロリーが高く体重の増加を招きやすい。しかも、俗に“悪いアブラ”と称される飽和脂肪酸やトランス脂肪酸を取り過ぎると、体内に悪玉コレステロールや中性脂肪が増え、生活習慣病の原因にもなる。

そんな理由から油を控えている人でも安心して味わえるのが、北海道米菓フーズが2017年に発売した「焼きおかき」だ。同社が開発した業界初の油を使わない味付け技術により、オイルフリー化に成功した。そんなヘルシーさが注目されて、国内だけでなく、海外からも引き合いがあり、創業から6年で11カ国への輸出を果たす。現在、海外売上比率42%を達成し、業績も順調に伸びている。

油を使わず賞味期限延長により輸出が実現

実は、同社は最初から健康志向の商品づくりをしていたわけではない。

「もともと、北海道産にこだわって、子どもからお年寄りまで安心・安全に食べられるものを提供しようと、大福もちの製造販売でスタートしました。寒さに強く、旭川以北でたくさんとれるもち米を活用しようと思ったんです」と同社社長の廣島俊郎さんは振り返る。

すると1年もしないうちにOEMの依頼が舞い込む。OEM生産と並行して、もち米をもっと活用しようと、おかきの製造を開始した。原料には生産農家と直接契約した特別栽培米「風の子もち」を使用し、揚げた後に機械で油を飛ばして、カラッと軽い食感に仕上げた揚げおかきだ。

「OEMが増えると、OEM商品と自社商品が店に並んで置かれるケースが出てきます。それではOEM先に申し訳ないので、できるだけ道外に販路を開拓しようと思いました。また、インバウンドにも好評だったので、台湾や香港への輸出にも乗り出すことにしました」

ところが、ネックとなったのが油だ。海外は油にうるさく、日本では表示義務のない飽和脂肪酸やトランス脂肪酸なども表示しなければならない。油を表示するには検査機関に出す必要があり、多額の費用がかかる。しかも従来の揚げおかきは油焼けにより賞味期限が120日と短く、輸送や通関にかかる日数を差し引くと、輸出先の売り場に置ける日数がほとんどなくなってしまう。「そうまでして輸出する意味があるのか」と一度はあきらめかけたが、「それならば油を使わなければいい」と発想を転換し、オイルフリーのおかきづくりを開始した。

道立総合研究機構食品加工研究センターと共同で、油を使わずに味付けする技術に取り組んだ結果、米から調整した無添加・無着色の定着液の開発に成功。100%オイルフリーの「焼きおかき」が誕生した。賞味期限も240日に倍増したことで問題も解消し、海外の商談会でPR活動を展開、アジアを中心に受注を獲得していった。

「販路を開拓する過程で、予想以上に健康へのニーズが高く、食と健康は切っても切れないと気付かされました。もっと北海道産の食材を活用して、ヘルシーな商品をつくっていこうと決意を新たにしました」

ヘルシーなら少々高価でも売れる

現在、定番商品として扱われている台湾、香港、中国のほか、マレーシア、シンガポール、北米、カナダ、スイスなど、輸出先は11カ国に上る。さらなる受注を獲得しようと、今も海外の商談会に足を運び、その国の気候や好みに合わせた味を提案するようにしている。例えば、気温の高いドバイには、しょうゆ味や一味唐辛子味でさっぱり……というように。また、パクチー味など、先方のオファーを受けて試作するケースも増えている。

「そのため続々と新しい味が増えています。われわれは後発メーカーなので自由な発想で、がごめ昆布、タマネギ、スープカレー、キャラメル、カマンベールなど、北海道にちなんだ味付けを心掛けています」

「焼きおかき」の発売以降、国内外を問わず、ヘルシーなら少々高価でも売れ、値崩れもしにくいことを実感したという廣島さん。実は今、前述の食品加工研究センターとともに、新たな焼きおかきを開発中だ。「味はまだ秘密」とのことだが、研究データの下に健康効果をうたったものになるという。

「今の時代、老若男女を問わず食への関心が高まっています。今後も健康に特化した商品に力を入れ、現状の商品が好調なうちに次の味をつくって、さらなる需要を掘り起こしていきたい」と、ますます“健康”を追求していく構えだ。

会社データ

社名:株式会社北海道米菓フーズ(ほっかいどうべいかふーず)

所在地:北海道旭川市流通団地2条5-20-1

電話:0166-73-8118

HP:https://beika-foods.co.jp/

代表者:廣島俊郎 代表取締役社長

従業員:10人

※月刊石垣2019年2月号に掲載された記事です。

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