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28年度政府予算案 中小企業対策費は1825億円に

生産性向上に力点 TPPの活用促す

政府はこのほど、平成28年度予算案を閣議決定した。一般会計の歳出総額は96兆7218億円で過去最高を更新し、政府全体の中小企業対策費は1825億円。被災地中小企業への支援のほか、生産性向上支援、TPPを活用した中小企業の海外展開支援などにも重点を置いた。特集では、中小企業・小規模事業者関係予算(28年度予算案、27年度補正予算案)・税制改正のポイントについて紹介する。(2面参照)

中小・小規模関係予算・税制改正のポイント 中企庁

1.中小企業の生産性向上を支援します

⑴ものづくり・サービスの新展開(ものづくり補助金)

ものづくり・商業・サービス新展開支援補助金 1020・5億円(27補正)

●試作品やサービスの開発、生産工程の改善のための設備投資を支援します。

①機械設備の取得費用などを補助します。(一般型)

1件あたり1000万円上限(補助率2/3)

②複数の事業者(最大5社までの共同体)が共同して取り組む場合は、上限額を引き上げます。

1事業者あたり1000万円上限(補助率2/3)

③設備投資を伴わない小規模な額での取り組みも補助します。(小規模型)

1件あたり500万円上限(補助率2/3)

④大幅な生産性向上(投資利益率5%以上)に取り組む場合は、上限額を引き上げます。

1件あたり3000万円上限(補助率2/3)

⑵省エネ設備の導入中小企業等の省エネ・生産性革命投資促進事業442・0億円(27補正)

●設備ごとの省エネ効果などで簡易な申請制度を創設し、高効率な省エネ設備(空調、工業炉、給湯など)への更新を支援します。

補助率=設備取得費用の1/3

⑶ものづくり・サービスの事業者連携(サポイン事業など)

戦略的基盤技術高度化連携支援事業139・7億円(28当初)

●特定ものづくり基盤技術を用いて、中小企業の共同体が取り組む製品化につながる可能性の高い研究開発を最長3年間支援します。

ものづくり=1件あたり4500万円上限(初年度、補助率2/3)

●中小企業が他の事業者および大学・公設試などと連携して行う革新的なサービスモデルの開発を最長2年間支援します。

サービス=1件あたり3000万円上限(初年度、補助率2/3)

中堅・中小企業への橋渡し研究開発促進事業11・0億円(27補正)

●中堅・中小企業が、革新的な技術シーズを事業化に結び付ける「橋渡し」機能を有する機関と行う共同研究を支援します。

1件あたり1億円上限(補助率2/3)

⑷下請事業者の自立化・取引の適正化

中小企業取引対策事業13・9億円(27補正、28当初)

●親事業者の生産拠点の閉鎖・縮小により売上げが減少する下請事業者が、新分野進出のために行う試作開発、展示会出展などの取り組みを支援します。

1件あたり500万円上限(補助率2/3)

●下請事業者同士が連携して行う調査研究や設備導入などを支援します。

1件あたり2000万円上限(補助率2/3)

2.TPPを活用した中小企業の海外展開を支援します

⑴農商工連携などによる海外展開

ふるさと名物応援事業40・0億円(27補正、28当初)

●農商工連携や地域資源を活用したふるさと名物の開発など、新商品・サービスの開発のための設備や原材料費、販路開拓に向けた展示会出展費などを補助します。また、計画の策定段階から販路開拓まで、中小機構の農商工連携などの専門家が支援します。

1件あたり500万円上限(補助率2/3)

農商工連携等によるグローバルバリューチェーン構築事業10・0億円(27補正)

●先端技術を活用して農業生産・加工・流通・販売といった各工程を結び付けた付加価値を向上させる体制の構築を支援します。

1件あたり1億円上限(補助率1/2)

⑵JAPANブランドの育成

ふるさと名物応援事業40・0億円(27補正、28当初)

●中小企業グループが、地域産品や技術などの強みを生かした①ブランド戦略の策定、②戦略に基づく海外展開の取り組みを支援します。

①専門家への謝金、海外現地調査の渡航費などを補助します。

1件あたり200万円上限(補助率定額)

②新商品開発、海外展示会出展などを最大3年間支援します。

1件あたり2000万円上限(補助率2/3)

⑶海外展開戦略の策定

中小企業・小規模事業者海外展開戦略支援事業34・3億円(27補正、28当初)

●新たに海外展開を目指す中小企業を対象に、海外展開計画の策定を支援します。

1件あたり140万円上限(補助率2/3)

※農商工連携などによる海外展開を目指す場合は、上限200万円

●具体的には、海外現地調査のための渡航費、通訳費などの補助とともに、海外ビジネスに精通した専門家が海外展開計画の実現を支援します。

●また、海外現地に相談窓口を設置。パートナー企業の発掘、法務・税務・労務、拠点設立から移転・撤退までの諸手続について、海外現地事情に詳しい専門家が相談対応します。

⑷海外展開に挑戦する中小企業への支援体制

海外展開戦略等支援事業59・9億円(27補正)

●ジェトロの専門家が事業者に寄り添い、各種支援策を活用しつつ、技術開発から、戦略策定や市場獲得までを総合的に支援します。

●また、経済産業省が主体となり、国、自治体、支援機関などで構成されるコンソーシアムを創設し、全国各地での相談体制の整備、強化を行います。

⑸知財を活用した海外展開知財を活用した海外展開のワンストップ支援19・7億円(28当初)

●ジェトロを通じて、海外での中小企業の知財リスクへの対策費用を支援します。

①模倣品に関する調査、業者に対する警告・行政摘発手続までの費用を補助します。

1件あたり400万円上限(補助率2/3)

②現地企業から知財侵害で訴えられた場合の弁護士相談や訴訟などの費用を補助します。

1件あたり500万円上限(補助率2/3)

③冒認商標に対する異議申立や取消審判請求、訴訟などに要する費用を補助します。

1件あたり500万円上限(補助率2/3)

●海外での知財訴訟リスクへの対策のため、中小企業を会員とした全国団体の団体保険制度「海外知財訴訟保険」を創設し、中小企業の掛金を補助します。(補助率1/2)

●中小企業や地域ブランドの海外展開に際して、知財の専門家を海外現地に配置し、出願、侵害対策までワンストップで情報提供や個別相談対応を行います。

3.小規模事業者の持続的発展を支援します

⑴小規模事業者の販路開拓など(持続化補助金など)

小規模事業者支援パッケージ事業(持続化補助金など)100・0億円(27補正)

●小規模事業者が、商工会・商工会議所と一体となって実施する販路開拓の取り組みを支援します(持続化補助金)。

1件あたり50万円上限(補助率2/3)

●具体的には、販路開拓用のチラシ作成、商品パッケージ制作、集客力を高めるための設備導入などの費用を補助します。

※雇用者の増加や買い物弱者対策、海外展開に取り組む場合の1件あたり上限額は100万円

小規模事業対策推進事業51・6億円(28当初)

●「経営発達支援計画」の認定を受けた商工会・商工会議所が行う、小規模事業者の事業計画の策定・実施支援など伴走型の指導を受けることができます。

⑵資金繰り支援(マル経融資)

小規模事業者経営改善資金融資事業40・0億円(28当初)

●商工会・商工会議所の経営指導を受け、経営改善に取り組む小規模事業者は無担保・無保証人・低利で融資を受けることができます。

貸付限度額=2000万円

貸付利率=1・15%(平成27年12月現在)

貸付期間=運転資金7年以内、設備資金10年以内

4.地域経済の活性化・新陳代謝の促進を支援します

⑴よろず支援拠点・専門家派遣

中小企業・小規模事業者ワンストップ総合支援事業(よろず支援拠点)59・7億円(27補正、28当初)

●中小企業・小規模事業者の販路拡大、経営革新、資金繰りなどのさまざまな経営課題について、全国のよろず支援拠点で相談を受けることができます。

●経営診断や技能指導などの専門家の派遣を受け、3回まで無料でアドバイスを受けることができます。

⑵人材不足などに悩む中小企業の支援

中小企業・小規模事業者人材対策事業18・1億円(28当初)

●若者・女性・シニアなど多様な人材を発掘し、地域中小企業への紹介、定着に向け、地域の実情に応じ、企業向け・人材向けセミナー、合同就職説明会、社員の定着に向けた研修などを行います。また、厚労省の施策(職場定着支援助成金、両立支援等助成金)とも連携し、支援します。

⑶商店街・中心市街地の活性化

地域・まちなか商業活性化支援事業30・3億円(27補正、28当初)

●商店街や中心市街地において、商業施設などの整備、買物弱者サービスや子育て・高齢者支援サービスの提供、外国人観光客の消費取り込みなどの取り組みを支援します。(補助率2/3、1/2)

⑷創業・第二創業の支援

地域創業促進支援事業8・5億円(28当初)

●若者や女性など創業を目指す方の店舗借入費や設備導入費などの創業費用を支援します

1件あたり200万円上限(補助率2/3)

●事業承継を契機に、新分野に挑戦する第二創業者の在庫処分費や解体費などの廃業コストなどを支援します。

1件あたり1000万円上限(補助率2/3)

⑸事業承継・事業再生支援

中小企業の事業承継、事業再生支援58・4億円(28当初)

(事業承継)

●各地の事業引継支援センターで、事業承継についての相談や後継者不在の事業者へのマッチングなどの支援をします。

●また、「承継円滑化法」の改正により、親族内の場合にしか認められていなかった遺留分特例制度が、親族外の後継者にも適用されることになりました。

●中小企業の後継者の方が現経営者から会社の株式を承継する際には、相続税や贈与税が軽減される特例制度(事業承継税制)を活用することができます。

(事業再生)

●各地の再生支援協議会で、事業の収益性はあるが、財務上の問題を抱えている事業者に対して、窓口相談や金融機関との調整を含めた再生計画の策定を支援します。

5.事業環境を整備します

⑴きめ細かな資金繰り支援

中小企業・小規模事業者への資金繰り支援966・2億円(27補正、28当初)

●日本政策金融公庫や商工中金が、新事業や海外展開などに取り組む中小企業・小規模事業者に対して低利による資金供給を行うとともに、生産性向上に向けた取り組みに対する資金供給の円滑化、災害などが起きた際の円滑な資金繰りを支援します。

●信用保証協会が、金融機関による融資に対して保証を行い、中小企業・小規模事業者の円滑な資金供給を支援します。

⑵知的財産を融資につなげる

中小企業知財金融促進事業1・0億円(28当初)

●中小企業の知財の価値を見える化し、金融機関からの融資につなげるため、中小企業の特許や技術などがどのようにビジネスに貢献し、利益を生み出しているのか、調査会社が「知財ビジネス評価書」を無料で作成します。

⑶消費税の転嫁状況の監視・検査

消費税転嫁状況監視・検査体制強化等事業32・1億円(28当初)

●転嫁Gメン474名体制で、円滑かつ適正な転嫁が行われるよう書面調査や取締りを実施します。

⑷消費税軽減税率導入に向けた準備の支援

消費税軽減税率対策予算995・8億円(27予備費、170・0億円(27補正)

●消費税軽減税率制度の導入に伴い、複数税率に対応した区分経理などを行う必要のある事業者に対して支援を行います。

①複数税率に対応するための新たなレジ導入を支援します。

1件あたり20万円(補助率=2/3、※3万円未満のレジ購入の場合は3/4)

②複数税率に対応するための受発注システムの改修を支援します。

小売業1件あたり1000万円(補助率2/3)、卸売業など1件あたり150万円(補助率2/3)

●また、中小企業団体などを通じて、制度の周知や窓口相談対応などを行い、消費税軽減税率制度の円滑な実施に向けて、きめ細かい支援を行います。

6.税制改正で事業活動を後押しします

⑴新たに取得する機械装置の固定資産税の軽減(新設)(略)

⑵中小企業者などの少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例(延長)(略)

⑶中小法人の交際費課税の特例(延長)(略)

⑷外国人旅行者向けの消費税免税手続き(拡充)(略)