一般に、親事業者が優越的地位にあり、下請事業者に一方的なコストダウンの要請などの問題が集中しがちな下請取引。このため、国は「下請法(下請代金支払遅延等防止法)」の厳正な運用などを通じ、違反行為の未然防止などによる取引の適正化を図っています。このコーナーでは、下請法の概要、親事業者・下請事業者の定義、取引の内容、親事業者の義務・禁止事項などについて、Q&A方式で分かりやすく解説していきます。
Q 情報関連機器部品メ-カ-です。工場内で社員が使用する作業服や作業帽を、衣服メ-カ-に仕様(社名の刺繍など)を指定し、注文しました。当社だけにしか販売できない特注品となりますが、下請法の対象となりますか?
A. 仕様を定めた「特注品」ですが、当該作業服などは自社で使用するものであり、自社では「業として」製造しているものではないと考えられます。このため、下請法上の「製造委託」には該当しません。
Q 規格品、標準品を調達することは、仕様などを定めて製造を依頼するものではなく通常の購買ですが、販売するために当該仕様などについて一部でも変更し、製造を依頼すれば、下請法上の適用取引となりますか?
A. 下請法の適用となる「委託」とは、事業者が他の事業者に対し、給付にかかる仕様、内容などを指定して物品などの製造(加工を含む)、修理、情報成果物の作成、役務の提供を委託する場合のことです。このため、仕様などを定めない場合には法の適用対象とはなりません。ただし、販売などを行うためにその一部でも仕様などを変えることは、仕様などを定めたことになり、下請法の適用となります。
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