松山商工会議所(愛媛県)は、地域産業の活性化を目的として愛媛大学などと連携し、会員企業のニーズと大学の研究シーズ(製品化の可能性のある技術やノウハウ)のマッチングを行っている。同取り組みにより、会員事業所から「愛媛県産はだか麦を活用した低糖質パン」が開発された。4月末に販売開始されるとメディアにも取り上げられ好評を得ている。
開発された低糖質パンは、原材料に消化されにくいでんぷんを配合することで糖質を一般的なパンの25~35%抑制したもの。「糖質が気になる人にもおいしいと感じる低糖質パンを開発したい」との相談が同所に持ち込まれたことをきっかけに平成27年、新製品開発に関わる調査・研究を行う「ライフサポート研究部会」(えひめ産業振興財団の産業支援事業)を開設し、産学官連携による研究開発がスタートした。同取り組みでは、愛媛県産業技術研究所が原材料の配合などパンの製法を検討、愛媛大学が糖負荷試験を実施し、製粉メーカーのマエダが原料粉の開発、製パン店・内田パンが製パン試験を行う形で約2年かけ製品化を実現した(下図参照)。
この低糖質パンは、原材料に県産「はだか麦」を使用。これは大麦の一種で脱穀すると簡単に穎(エイ=殻粒を包んでいる皮)が取れることからはだか麦と呼ばれ、食物繊維が豊富なのが特徴だ。販売されたのは食パン、クロワッサン、塩パンの3種類。ふっくら、しっとりとした食感で健康志向の地元の女性に好評だ。メディアで知ったという新規の客やリピーターも増えているという。今後はさらに糖質50%オフのパン開発を目指し研究を継続していく予定だ。
同所は、これまでも企業の新製品開発に当たり大学とのマッチングを行ってきた。昨年は、自動車部品(ブレーキ)の整備用機械の開発に関して愛媛大学と連携するなど実績がある。今後も、「大学の研究を活用したい」という事業所の要望を積極的に支援していく。
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