あのピコ太郎が「SDGs版PPAP」を披露して話題に
「PPAP」(ペンパイナッポーアッポーペン)でブレークしたピコ太郎さん。You Tubeの動画再生回数は1億回を突破して世界1位となった。そのピコ太郎さんが「SDGs版PPAP」を国連本部で披露した。外務省の取り組みに協力してのものだ。SDGsとは、Sustainable Development Goalsの略で「持続可能な開発目標」。人類と地球環境のために2015年の国連サミットで採択された。これには17の目標があり、消費者にも事業者にも最も関わりのあるのが「持続可能な生産と消費」(目標12)だ。
消費者に関する最近のアンケート調査(※1)によると、人類と地球環境の「持続可能性」に配慮した商品やサービスの提供は、事業者の責任と考える消費者が増えている。事業者は、自らが取り扱う製品の資源調達から製造、輸送、使用、廃棄までの一生について、その過程をしっかり把握し、説明責任を果たすことが求められている。 しかし、この「持続可能性」が、なかなかピンとこない向きも多い。でも持続可能性は、本来、環境だけでなく組織にとっても不可欠な要素であるはずだ。持続可能な社会になるには、貧困問題や格差是正など、社会的な影響も考えて消費行動ができる倫理的消費者すなわちエシカルコンシューマーの存在がキーとなる。今や地球温暖化防止や生物多様性など、環境に配慮した消費行動ができる「グリーンコンシューマー」から、さらに一歩進んだ状況がわが国でも生まれて来ている。
スーパーの店頭では「フェアトレード」のチョコレートや「レインフォレストアライアンス」など環境ラベルのついたコーヒーが増えている。東海道新幹線のコーヒーにもこうしたラベルがついているが、気付いておられるだろうか。「フェアトレード」は、原料を生産する小規模農家にも公平に利益が分配されているか、また「レインフォレストアライアンス」には、農場開発で動植物の多様な宝庫である熱帯雨林を守っているかといった基準があり、倫理的な消費につなげようとしている。
ピコ太郎さんのPR効果で「持続可能な開発目標」を知った消費者が、さらに増えたかもしれない。既に世界的な先進企業は、サプライチェーンからの調達コード(ガイドライン)に、紛争鉱物(※2)でないことなど社会的側面を当然のこととして取り入れている。今後、調達先の選定においても、倫理的な視点での要求が強まることは間違いない。消費者の目線は確実に変化している。そのことを理解し、対応することが事業者に求められている。
※1 博報堂生活総合研究所「生活定点」調査 http://seikatsusoken.jp/teiten/chart/1495.html ※2 アフリカなどの紛争地域で採掘され武装勢力の資金源となっている鉱物資源
このコラムについて
「“消費者目線”から」は、消費生活アドバイザー(※)が、消費者の視点で経営に役立つヒントをご提供するコーナーです。
※消費生活アドバイザーとは……消費者の声を経営に反映させたり苦情相談に対応する人材養成のため一般財団法人日本産業協会が行う内閣総理大臣・経済産業大臣事業認定資格
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