経済産業省は、発注側企業と受注側企業の取引適正化に向け、2月10日に発表された「取引適正化に向けた5つの取組」に基づき、3月を「価格交渉促進月間」と設定、中小企業が原材料費などの上昇分を価格転嫁できるよう交渉を促す取り組みを強化している。価格交渉促進月間は、2021年9月に初めて実施。今回は、そのフォローアップ調査(受注側中小企業への状況調査)の結果を公表するとともに、価格転嫁や価格協議の実施状況が良好でない発注側企業に対する注意喚起なども行うとした。期間中は広報活動、セミナーなどを通じて価格交渉の浸透・定着を図る。
フォローアップ調査は、パートナーシップ構築宣言企業の1次取引先企業などを対象に実施したアンケート調査(21年10月15日~11月12日、回収件数6380件)、および下請Gメンによるヒアリング(電話)調査(同年10月1~29日、約2064社)を取りまとめたもの。「直近1年間の価格交渉の協議」については、「協議に応じてもらえた」と回答した割合は57・1%と最も高いものの、「協議に応じてもらえなかった」「価格に納得していないが協議を申し込まなかった」との回答も4・6%あった。
「直近1年間のコスト上昇分のうち価格に転嫁できた割合」は、7~10割が44・5%、転嫁できなかった事業者は22%だった。「転嫁できなかった部分に関する説明の有無」については8割の企業が「納得できる説明があった」と回答した。「価格決定方法」は、「発注側企業との協議により決定」が最多(66・5%)。「複数社の相見積もり」「発注側の一方的決定」は約3割だった。「価格交渉において懸念したこと」は、「取引が断られるリスク」が最も多かった。
価格転嫁の達成状況を見ると、価格転嫁の状況が相対的に良い業種は、金属、放送コンテンツ、化学、素形材、紙・紙加工など。良くない業種は、トラック運送、印刷、自動車・自動車部品、建設、機械製造など。また、この調査で評価対象となった企業257社のうち、パートナーシップ構築宣言企業は70社で、優良な結果だった。
同調査結果に基づき、良い事例・問題のある事例を公表。今後は価格転嫁や価格協議の実施状況が良好でない個別の発注側企業に対し、事業所管省庁から下請中小企業振興法に基づく「指導・助言」による注意喚起などの実施、独占禁止法や下請代金法の違反が疑われる事案については、公正取引委員会と中小企業庁が連携して対処する。
3月の価格交渉促進月間のフォローアップ調査も4月以降に実施する予定。また、価格交渉促進月間中には価格交渉や下請代金法に関する講演会、セミナーなども実施する。講習会などの日程は、「適正取引支援サイト」で随時公開している。
詳細は、https://www.meti.go.jp/press/2021/03/20220301003/20220301003.htmlを参照。
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