日本商工会議所の三村明夫会頭はこのほど、日本経済団体連合会の十倉雅和会長とともに若宮健嗣内閣府特命大臣(共生社会担当)と会談し、「2023(令和5)年度卒業・修了予定者などの就職・採用活動に関する要請」を受け、全国の会員企業などへの周知に協力していく考えを示した。若宮大臣は、学生が学業などに専念し、安心して就活に取り組める環境や、公正・公平な機会の確保のため、日程については、例年どおりとすることなどを要請。インターンシップ、広報活動、採用・選考活動など各段階における配慮などを求めた。
政府による経済団体への要請は、学生が学業に専念し、安心して就職活動に取り組める環境をつくることが重要との認識の下、2018年度以降、実施しているもの。就職・採用活動の日程が一部で早期化し、学生の就職活動期間が長期化する傾向にあること、また、インターンシップなどを契機として、就職・採用活動の日程より前に実質的な就職・採用活動が行われる事例もあることから、インターンシップの適切な実施と就職・採用活動の日程などの遵守徹底をを広く経済団体に呼び掛けている。
今年度は全国の1252の経済団体などに要請書を発出。日商の三村会頭と経団連の十倉会長には、若宮大臣から直接要請文を手交している。
若宮大臣は、三村会頭らに対し、政府として取りまとめた23年度卒業予定の学生の就職・採用活動に関する要請事項を説明。特に、日程などについて、例年どおり、広報活動は3月以降、採用選考は6月以降、内定日は10月以降とすることなどを求めるとともに、インターンシップ、広報活動、採用・選考活動など各段階での配慮について採用側の協力を求めた。
三村会頭は、「就職・採用活動が学業の妨げになることは避けなければならない」と指摘。政府要請の重要性に理解を示し、機関紙やホームページなどを通じて、全国515商工会議所とその会員企業に広く周知していく考えを表明するとともに、政府広報などにおいても、ルールの徹底に関する呼び掛けの強化を要望した。
要請内容のポイントは、広報活動開始が卒業・修了年度に入る直前の3月1日以降、採用選考活動開始が卒業・修了年度の6月1日以降、正式な内定日が卒業・修了年度の10月1日以降と明示。就職・採用活動日程については、例年通りの時期を示した。
採用選考活動については、土日・祝日、平日の夕方以降の時間帯などを活用するなど学事日程への配慮を要請。インターンシップについても長期休暇を活用するなど学業への影響を考慮するとともに、広報活動や採用選考活動と異なるものであることを明確にすることなどを求めている。
また、卒業・修了後少なくとも3年以内の既卒者は、新規卒業・修了予定者の採用枠への応募を可能とすることや、日本人海外留学者・外国人留学生などに対し、多様な採用選考機会を積極的に周知・提供することなども要請。オンライン形式の採用選考における通信環境への配慮、学修成果や学業への取り組み状況を適切に評価することなども要請している。
2023(令和5)年度卒業・修了予定者等の就職・採用活動に関する要請 【要請内容のポイント(抜粋)】
1.就職・採用活動日程の遵守
広報活動開始:卒業・修了年度に入る直前の3月1日以降
採用選考活動開始:卒業・修了年度の6月1日以降
正式な内定日:卒業・修了年度の10月1日以降
2.学事日程などへの配慮
3.インターンシップの広報活動や採用選考活動との区別の明確化。
4.卒業・修了後3年以内の既卒者は、新規卒業・修了予定者の採用枠への応募を可能に
5.オンラインを活用する場合の適切な対応
6.日本人海外留学者・外国人留学生などへの多様な採用選考機会の周知・提供
7.学生の個人情報の取り扱いなどに関する法令の遵守
8.セクシュアルハラスメントなどの防止徹底
9.学修成果や学業への取り組み状況の適切な評価
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