宮島清一著
著者の宮島清一氏は、1882(明治15)年に唐津で創業した老舗醤油醸造メーカー「宮島醤油」の代表取締役社長にして理学博士。現在、唐津商工会議所(佐賀県)の会頭を務めている。
唐津生まれの同氏は、大学進学を機に18歳で唐津を離れ、自然科学の研究者となったが、同社を継ぐため48歳で唐津に戻った。30年間離れていた唐津のことを一から学びたいと、仕事の傍ら、自ら資料収集や閲覧、昔の書物の解読に加え、その人物の子孫や関係者への取材などを行い、その内容を同社ホームページに3年間、毎月連載した。それをベースに、新たに加筆した労作が本書である。
本書は、幕末から明治期という激動の時代に、唐津で生まれ、学び、そして世界に羽ばたいた人物、また、唐津を舞台に活躍した人物18人の生涯を記した評伝集である。人選は幅広く、政治家、実業家から、法律家、学者、技術者、建築家まで、多様な職種の人物が選ばれている。その中には高橋是清(第20代内閣総理大臣)、辰野金吾(東京駅などを設計した建築家)、天野為之(早稲田大学学長・経済学者)など全国的に知られた人物から、志田林三郎(電気分野での日本最初の博士号取得者)、黒田チカ(日本で最初の女性理学士)など同氏が学者ならではの目線で選んだ人物も含まれる。
唐津にとどまらず、変革の時代にある現代において、進取の精神の重要性を読み取ることができる。
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