子供の貧困率は、平成27年時点で13・9%。約7人に1人が「相対的な貧困」の状態にあるといわれています。「相対的な貧困」とは、おおよそ平均的な所得の世帯の半分に満たない所得のレベルで生活をしなければならないという状態、今日の日本においても、子供の貧困という問題は現実に存在しているのです。
親の収入が少なく十分な教育を受けられない、進学や就職のチャンスにも恵まれず、収入の確保が困難になり子供世代も貧困になる、という貧困の連鎖が生じているのです。特に、ひとり親家庭の相対的貧困率は50・8%と、実に2軒に1軒が「相対的な貧困」の生活水準となっています。
子供の大学などへの進学率を見ると、全世帯の進学率(73%)に比べ、生活保護世帯(35・3%)、児童養護施設(27・1%)、ひとり親家庭(58・5%)の進学率は低くなっています。
未来を支える人が支えられる側に
経済的な困窮の問題はそれだけにとどまらず、生活習慣、健康管理、自己肯定感など、子供たちの成長にさまざまな影響を与えます。生育環境により、「頑張っても仕方がない」と、学ぶ意欲と将来への希望を失ってしまうのです。
また、子供の貧困の問題は、少子化による人口減少と同時に進行すれば、国や地域の未来にも深刻な影響を及ぼします。子供の貧困対策の放置は社会の損失であり、裏を返せば子供の貧困対策の推進は未来への投資となるのです。
民間の活動が果たす役割
国は、教育の支援(奨学金の充実など)、生活の支援(相談体制や居場所づくり、児童養護施設退所者支援)、保護者の就労支援、経済的支援(ひとり親家庭の支援)の4本柱で子供の貧困対策の充実強化に取り組んできました。しかし、子供の貧困問題の特徴は、「実態が見えにくく捉えづらい」ということ、本当は社会的に孤立しているのに必要な支援が届かないことがあります。
そのため、地域で子供たちに寄り添う民間の活動が果たす役割が非常に重要です。
現在、国だけでなく教育・福祉関係の行政機関、NPOなどの支援団体、企業、地域住民などの多様な関係者が連携して、社会全体でこの問題に取り組んでいます。民間の活動事例として、安心して過ごせる居場所づくり、子供食堂、学習支援、フードバンクなどの取り組みがあります。こうした支援団体は活動資金のみならず、食材、人材、ノウハウなどを必要としています。
身近な方法で協力が可能
そのため、経済界などの呼び掛けにより「子供の未来応援基金」が創設され、全国の支援団体に対して、子ども食堂や学習支援の活動資金を提供しています。寄付総額は10億円を超え、これまでに延べ165団体に支援を実施することができました(平成30年9月30日現在)。
この基金の原資は企業などからの直接のご寄付によるものです。その他、さまざまな仕組みで集められています。古本を活用した「こどものみらい古本募金」や、子供服をリユースする「こども服みらいファンド」、自宅に眠る物品を寄付する「お宝エイド」、飲料1本当たり10円を寄付する寄付型自動販売機(写真)の設置といったお気軽に始めていただける方法もございますので、まずは 身近な方法からのご協力をぜひよろしくお願いいたします。
また、学習支援、子ども食堂、フードバンクの広域団体と内閣府が連携して、自社資源を生かして子供たちを支援したいとお考えの企業と、団体などとの連携方法のご提案を行っています。さらに、民間団体が企業などとの交流を行い、連携を推進するためのマッチングフォーラムを例年、全国で開催しています。今年度は東京をキックオフとして4カ所以上で開催予定ですので、こちらも奮ってご参加ください。
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