東洋医学は、日本人にはなじみの深い医療です。風邪をひけば漢方薬の葛根湯(かっこんとう)を飲み、慢性的な腰痛の緩和に鍼灸に通うなどしている人は少なくありません。
東洋医学は、患者の全身の状態を見たり、聞いたり、触れたりすることで診断し、治療していく経験的な医学です。西洋医学が悪いところを局所的に検査し、原因を突き止めて排除する治療を行うのに対して、病気や症状の根本的な原因を見極め、それを改善に導いていきます。治療法には、漢方薬、はり治療、おきゅうなどいろいろあり、体の状態に合わせて選択していきます。
東洋医学の強みは、血液検査や画像診断などで異常が見つからないのに、「何となく体調が悪い」といった状態の改善に適しています。また、加齢からくるさまざまな不調や慢性的な疾患、厄介な体質の改善にも有効な場合があります。
例えば、「疲労感」や「体重減少」といった自覚症状があったとします。この場合、まずは西洋医学の医療機関を受診して原因を調べましょう。症状の裏に結核などの感染症や、がん、糖尿病の悪化といった病気が潜んでいないことを検査で確認し、その結果を踏まえて東洋医学の医療機関を受診する流れが適切です。東洋医学の医療機関で詳しい検査を行っているところもあると思いますが、全部がそうだとは限りません。もし、東洋医学的な治療を希望するなら、その旨を医師に伝えてみましょう。東洋医学専門の他院か、同じ医療機関内に東洋医学科があれば、紹介してもらえる場合があります。
自分で探す場合は、医療機関のHPを見て「東洋医学科」「漢方診療科」「漢方科」などと掲げてあれば扱っています。一緒に医師のプロフィルも確認して、「日本東洋医学会漢方専門医」とあれば、東洋医学に詳しいことが分かります。現在、東洋医学を扱っている医療機関は増えており、漢方薬も多くが保険適用になっています。「漢方薬は効果が出るのに時間がかかる」「漢方薬は副作用が少ない」などの間違った思い込みを払拭し、正しく理解しながら上手に利用していくことが得策です。
最新号を紙面で読める!