今年度のYEGフラッシュは、商工会議所(親会)とYEGの良好な関係をご紹介します。タイトルの「藍と青」は、渋沢栄一翁の生家の家業が藍農家であったことから、藍を親、青をYEGとし、一般的にいわれる師弟のことではなく、「君子曰く、学は以て已(や)むべからず(学問は中断してはいけない。努力すればするほど精錬されて優れたものになる)」という本来の意味に立って取材します。
美しい海に囲まれ、島全体が平坦で低い台地をなしている宮古島。近年は、各種スポーツ大会やスポーツ団体の合宿なども行われ、「スポーツアイランド宮古島」として活気づく。その裏側には、島の発展のために郷土愛を育むべく、宮古島の魅力を発信し続けようと奮闘する宮古島商工会議所と、同所青年部が挑戦し続ける姿があった。
宮古島の人々の情熱が根付かせたトライアスロン
今年で38回目の開催となった「全日本トライアスロン宮古島大会」の歴史は1985年にさかのぼる。以前、高校駅伝の沖縄県大会が初の離島開催として宮古島で行われた際、視察に来ていた当時の琉球新報社社長がその盛り上がりに感銘を受けてトライアスロンを誘致することになった。初回の参加者は現在の5分の1、300人にも満たなかったが、当時はそれだけの人数を収容できるホテルがなく、ほとんどが民泊を利用したのだという。第1回はNHKが全国生中継し、当時の宮古島有線テレビ(現在の宮古テレビ)が長時間放映した。これが宮古島にトライアスロンが根付いていく瞬間だった。 「トライアスロンを実行するために地域の皆さんや市民団体など、多くの人たちが活動している。宮古島商工会議所(以下、親会)は、当初から当然そこに入って皆で運営をしてきた」と会頭の根路銘康文さんは思い出深そうに語る。 トライアスロンの開催は、来年で40周年を迎える。宮古島商工会議所青年部(以下、YEG)はエイドステーションに食料や水、氷の配布、ボランティアの弁当を手配するなど、縁の下の力持ちという影の役割ではあるが、毎年大きな貢献をしている。 「YEGとしては年度初めの怒涛のごとく忙しい時期だが、4月にこれをしっかりとやり遂げることで『今年も始まったな』と思う大事な事業」と、YEG会長の垣花晋さんは力強く語る。
YEG出身の会頭だから分かるコミュニケーションの大切さ
宮古島YEGには地域と共に進めている大切な事業が四つある。「全日本トライアスロン宮古島大会」「宮古島夏まつり」「KAZE JET SKI Enjoy耐久in宮古島」「劇団四季ファミリーミュージカル宮古島公演」だ。
スポーツアイランド宮古島として、まちが活気づく取り組みは4月開催のトライアスロンと、11月のカワサキモータースとタイアップして行う、ジェットスキー大会の運営サポート事業だ。夏まつりでは、子どもたちに人気の金魚すくいや、企業のちょうちんを飾るなど、まつりを盛り上げる事業に携わる。また、年度末の3月には、劇団四季のファミリーミュージカルを毎年宮古島に招いて開催している。地域の子どもたちに、普段はなかなか見る機会のない劇団四季の劇場公演を見て、夢や希望を持ってもらうことを狙いとしている。
根路銘会頭は、「僕はYEGとして何年かやってきた自負もあるし、頑張っている現役メンバーを応援しないといけない立場だ。なれなれしいかもしれないが、それで話ができるようになることもある。いずれ会頭となって地域を盛り上げる候補がいるYEGとはしっかり話をして相互協力関係を築かなければいけない。基本姿勢としてはずっと応援をしているから」と話す。YEGがどんどん活躍できる環境を、親会全体で引っ張るというのが良好な関係性を築いている大きな要因だという。
実際、共同で動く事業が多いことから、「準備、実行、懇親会までほぼ一緒なので、みんな顔なじみ。連絡事項だけだったのが世間話もするようになる。懇親会の場でふざけて『おまえらちょっとこっちに来い』と、コミュニケーションを取ることが多い」と根路銘会頭はにこやかに語り、垣花会長も大きくうなずいた。
2年後に控える一大事業に向け止まらない挑戦
宮古島YEGは昨年、長く尽力してきたメンバーが9人卒業し、今年度は42人でのスタートとなった。2年後の2026年度全国リーダーズ研修会の開催地に決定したこともあり、垣花会長は「会員拡大と組織力の活性化を念頭に置いて活動している」と言う。22年度に九州ブロック大会を実施した際にはメンバー数が60人程度と過去一番の人数だったことから、それを超えられるように努力したいと語る。
また、YEGの4本の柱となる事業を、親会や地域と共に活動してきた実績があることから、「宮古島YEGはメンバー数は少ないが結束力が強い。一昨年に主管した九州ブロック大会もそうだったが、大きな事業をしっかり一枚岩になってやり遂げる自負はある」と語る垣花会長の目は鋭い。 「今までの経験を生かし、地域全体のことを考えて活動し続けることは、これからも一貫して変わらない。今後もさらに期待に応えるために、地域に必要とされる単会を目指すという基本精神は、親会とYEGで一致している」と垣花会長は今後の方針を語った。これに対して、根路銘会頭は「YEGにはかっこよくやってほしい。今もかっこよくやっていると思う」と応えて期待を示した。 「かっこいい親会の背中を見て頑張ります」と、垣花会長は積極果敢に挑戦し続ける意志を見せた。
【宮古島商工会議所】
会 頭 : 根路銘 康文
会員数 : 1766人
設 立 : 1975年
住 所 : 沖縄県宮古島市平良字西里240-2
基本理念 :「未来永劫発展しつづける地域経済の実現」
HP:https://www.miyakojima-cci.jp/
【宮古島YEG】
会 長: 垣花 晋
会員数: 42人
創 立: 1979年
スローガン:「絆 ~想をひとつに Let’s Enjoy YEG!!~」
HP:https://www.miyakojima-cci.jp/seinenbu/
編集後記
瀧口 力(常滑YEG)
新一万円札の顔となった渋沢栄一翁の言葉に「自ら箸を取れ」があります。 私がこの言葉から思い浮かべたのは、長渕剛の楽曲「Captain of the Ship」です。「困難な状況においても、主体性、挑戦精神、責任感を持って、自らの力で未来を切り開け」という共通のメッセージが込められています。先日、われわれ広報☆ブランディング委員会は、全国の青年経済人に渋沢翁の教えや考え方を紹介する動画「知るべきは、渋沢栄一翁だった!青年経済人よ、自ら箸を取れ!」を公開しました。
取材:日本商工会議所青年部(日本YEG)広報☆ブランディング委員会 石垣チーム/写真提供:宮古島商工会議所青年部
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