京都商工会議所は11月11日、京都産業大学と包括連携協定を締結した。連携事項の一つとして同大学の定期試験に日商簿記検定試験3級を導入する。人材の確保・育成が企業の経営課題となっている中、さまざまな社会課題に対応した地域社会を築くため、多様な人材を輩出してきた同大学とこれからの京都の産業を支える人材育成に協働して取り組む。
京都市は多くの大学が集積し、学生が人口の約1割を占める。今回の協定締結により、同所は大学の知見と次の時代を支える学生の活力を取り込み、同市のさらなる活性化を図っていく。
同協定では、主な連携事項として「産業人材の育成・キャリア形成」「地域教育・研究の振興」「京都企業の人材確保」「地域振興・地域経済の活性化」を掲示。具体的な取り組みとしては、①産学連携による産業人材②次代を担うアントレプレナーの育成・支援③日本文化の理解増進による地域振興などの推進④京都の企業などと学生のマッチング支援⑤同大学と同所との交流促進――の5点を盛り込んでいる。
①では、経営学部の定期試験に日商簿記検定試験3級の受験を組み込む。また、同大学と附属高校が連携し、附属高校に対して日商簿記検定の受験料を一部助成するなど合計7年間をかけた「会計人材」教育を行い、経営的視点を持った人材を育成する。②については起業家プログラムの提供や経営支援員による伴走支援、事業化に向けた協業の場づくりなどに取り組む。
③では、同所主催の「京都・観光文化検定」1級合格者を同大学・日本文化研究所の特別客員研究員として受け入れ、日本文化の理解増進とフィールドワークを推進する。④については、学内就職説明会への同所会員企業の参加、会員企業と同大学就職支援センターの情報交換を実施する。
⑤では、講師や専門家の相互派遣、大学での授業を通した同所事業の紹介などを行う。
締結式に出席した同所の堀場厚副会頭(当時)は「人口減少社会を迎え、全国的に人手不足が深刻化しているが、京都においても、地域経済を支える中小企業が事業を継続・発展させる上で、人材の確保が喫緊の課題となっている。今後、さまざまな連携事業を通して、お互いの魅力や強みをさらに伸ばしていけるよう、実効性のある取り組みを進めていきたい」と述べた。
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