日本商工会議所の小林健会頭は3月18日、定例記者会見で2026年春季労使交渉の回答状況に言及した。大企業で5%を超える高水準な回答が相次ぐ一方、深刻な人手不足に直面する中小企業も人材確保のために「賃上げをせざるを得ない」切実な状況にあると指摘。一方、労働分配率が限界に近い中での「防衛的賃上げ」は困難な段階にあるとの認識を示し、賃上げの実現には生産性向上と価格転嫁の両輪が不可欠であると強調した。
26年春季労使交渉では、大企業の満額回答が相次ぎ、平均5%を超える高い水準が予想されている。一方、中小企業では人手不足が深刻化しており、人材確保のために「賃上げをせざるを得ない」という切実な状況にある。日商が昨年10月に実施した調査では、25年度に賃上げを実施した中小企業は82.0%に達したが、今年は原材料費や光熱費のさらなる上昇への懸念が強く、経営判断を一層難しくしている。
労働分配率がすでに限界に近い中小企業においては、「防衛的賃上げ」が継続困難な段階に達しつつある。小林会頭は「中小企業の経営者はこの先どのように対応していくべきかを悩んでいるのが実情」と指摘する。
こうした中、賃上げの実現のためには「生産性の向上と価格転嫁の両輪しかない」と小林会頭は強調した。「実質賃金がプラスにならないと経済は正のスパイラルにならない。可能な限り賃上げに踏み切ってほしい」と期待を寄せるとともに、商工会議所としても伴走支援や国への政策提言を強化していく方針を示した。
緊迫化する中東情勢が日本経済に与える影響については、「経済国家としての国難に直面している」との認識を示し、政府に対してあらゆるインテリジェンスを駆使した施策を求めた。特に、事実上のホルムズ海峡閉鎖に伴う企業におけるコスト増については、原油に加え、電気・ガスをはじめとした光熱費の上昇が今後さらに中小企業経営を圧迫することに懸念を示した。
高騰しているガソリン価格については、企業が制御できる問題ではないことから「政府は補助金などで支援を続けなければならない。必要な支出だ」との見解を明らかにした。さらに、短期的には石炭火力発電の活用、中長期的には、原油やガスの供給源の多様化、原子力発電の位置付けに関する検討の必要性に言及した。
日米関係については、米国時間3月19日に予定されている日米首脳会談を前に、日本が米国と同盟関係であることを前提として「戦術的にごまかすような発言をするのではなく、日本としてできることには限りがあることを率直に伝えるべき」と指摘した。
