日本商工会議所の小林健会頭は4月15日、定例記者会見に臨み、低所得者対策は「給付付き税額控除が本道」と改めて強調した。一部で浮上している消費税減税については、「現場では本業に影響しかねないほどの多大な負担がかかる。極めて慎重に検討していただきたい」と懸念を示した。中東情勢を背景とした原材料高騰については、「当初から懸念していた問題。価格上昇分を転嫁することは、もはや必須」と言及した。
小林会頭は、消費税の減税について「社会保障制度の重要な財源である。消費税減税を行うには明確な財源の確保が必要」と述べた。また、企業の経理処理や税務申告で混乱を招くほか、消費者向け(BtoC)の現場では、現状の経営で手一杯であることから「本業に影響しかねないほどの多大な負担がかかることを懸念している。消費税減税については、極めて慎重に検討していただきたい」と現場の実情を伝えた。
低所得者対策については「『給付付き税額控除』の導入が本道。全ての仕組みが完全に整うのを待ってから実行するのではなく、まずは給付から始め、並行して所得の把握を進めるなど、できる部分から着手すべき」と主張した。さらに、「対象を絞るなど段階的に進め、最終的に『給付付き税額控除』につなげていくことが最も妥当かつ望ましい」と述べた。
中東情勢の緊迫化に伴うエネルギーや原材料価格の高騰については、昨今のサプライチェーンの構造変化に伴い、流通段階で在庫が滞留する「サプライチェーンにおける目詰まり」を憂慮。「政府と産業界が協力し、関係者の不安を払拭して供給ルートの『血の巡り』を良くしていくことで、段階的にこの目詰まりを解消していく以外に方策はない」と政府に対して協力を強 く求めた。
今後の価格転嫁については、「中東情勢の緊迫化に伴う原材料費の高騰は、当初から懸念していた問題だ。価格上昇分を転嫁することは、もはや必須」と言及。人手不足に伴う防衛的賃上げに原材料費の高騰が重なる中、パートナーシップ構築宣言を基盤に「大企業の経営トップにはサプライチェーンの川下を向いて真摯(しんし)に協力してほしいと申し上げており、一定の理解と協力は得られると思う」と語った。
昨今の賃上げ動向については、「現場は非常に困っている」と述べ、労働組合がない中小企業がこれから賃上げを決める実情を説明。人手不足の中で「企業は人材を確保するために賃上げせざるを得ないが、(中東情勢の)問題があり、経営者は悩んでいる最中」と強調し、「見通しが悪い場合には、少し腰折れせざるを得ないだろう。非常に心配している」と強い懸念を示した。
外食業分野における在留資格「特定技能1号」の受け入れ原則停止については「現場から非常に切実な声が届いている。人手不足の中で離職に伴う補充のサイクルも限界に達し、受け入れ上限の緩和を求める強い要望が寄せられている」と実情を訴えた。
政府が検討を進めてきた防衛装備移転三原則とその運用指針の改定については、「同盟国・同志国との協力・連携を強化していく点において、方向性は理解できる。防衛産業はデュアルユースも含め裾野が広く、サプライチェーンには中小企業も多い。輸出の選択肢が強化されることは経済的にも意義は大きい」と評価した。一方で、国民の不安に配慮し、「必要性・意義や歯止めの方策の明確化、さらには適切な管理の下で行っていくことを、政府は国民に分かりやすく説明すべきである。また、国会においても丁寧な説明が必要」と主張した。
