私が船井総研を離れて久しいですが、今なお成長し続ける株式会社船井総合研究所という会社の根幹には、いったい何があるのでしょうか。DX支援や物流コンサル、人材紹介など支援領域を広げ、時代に合わせて総合経営支援グループへと業務形態は進化していますが、その基本となる企業風土とは、どんなものでしょう。
私が在籍していた時代、船井総研の社内には創始者・舩井幸雄が説いた「素直・プラス発想・勉強好き」という成功の3条件や「根明」、「長所伸展法」といった原理原則など、通称、船井流と呼ばれる価値観が空気のように充満しており、社員は船井流をシャワーのように全身に浴びていました。
皆さんは船井流のことを企業が業績を上げるための方法論と考えておられると思いますが、実は船井流は成功するための思考習慣のことです。
船井総研に2年以上在籍している社員で、船井流が習慣化しない人はいませんでした。船井流の長所伸展法を例にとると、船井総研のコンサルタントなら、欠点を抱えた企業にそのことばかり指摘しても売り上げは上がらず、一つだけでも長所を見つけ、それを一流レベルにまで伸ばすことで初めて売り上げが上がる、ということを知っていました。
それは企業の業績だけでなく、社員を育てる場合も同様で、上に立つ者は部下に対してあれが悪いこれが悪いとガミガミ叱ることはせず、良いところを褒めるのです。また、部下も上司の欠点を見つけて陰で批判するようなことはせず、上司の長所を見て、それをまねて成長しようと努力します。多くの社員が船井流を習慣化しているので基本的な考え方にズレがなく、人の欠点をあげつらうこともないので、幹部を含め社内に派閥がありませんでした。そのため風通しが良く、仕事に没頭できました。
ではそういう風土はどうやって培われたのでしょうか。それはトップが全社員に話をする機会をできる限り設けることにあります。私も社員時代には月に1、2回、舩井社長の話を聞く機会がありました。そして歴代社長はそれを引き継ぎました。社員数が1200人を超えた今も、「われわれが目指すものは何か」を説明し、トップ自らが大切だと感じることを、繰り返し社員に伝えることを入念に実践していると思います。
現場主義のコンサルティングにこだわり、苦労を理解しつつ業績を上げる、船井総研の根幹とも言えるこの姿勢は、トップが丁寧に伝え浸透させてきた企業風土に根を張り、育ててきたものなのです。
経営者の皆さまの考えが、どれほど社員に伝えることができているか。これこそが、組織づくりに最も重要なことだと思います。

