Q ウェブサイトを公開後、サイトの制作に当たり、制作を担当した従業員が、他社のウェブサイトの一部をそのまま使用した恐れがあることが判明しました。同社から著作権侵害の指摘を受けたのですが、どうすべきでしょうか。
A ウェブサイトには、文章・画像・音声など、さまざまな著作物が含まれます。それら著作物を無断で複製・公衆送信すると、著作権侵害となり、差し止め請求や損害賠償の対象となる可能性があります。ただし、ウェブサイトの全ての要素が著作物に該当するわけではなく、HTMLデータなどは著作権の保護対象とならないことが多いでしょう。侵害の指摘を受けた場合は速やかに検討し、侵害が認められる場合は削除・謝罪などを行います。
著作物の複製と公衆送信
ウェブサイト(ホームページ)は、文字、画像(静止画・動画)、音声などの掲載が可能です。ウェブサイトの構成要素に著作物性(著作権法2条)が認められる場合、著作権者は、複製権(著作権法21条)や公衆送信権(著作権法23条)などの権利を有することになり、その権利を侵害した者に対し、侵害行為の差し止めや損害賠償を請求することができます。
著作権法30条以下で例外として認められる私的利用などの場合を除き、著作権者の許諾なしに著作物の複製や公衆送信を行うことは、著作権の侵害に当たります。
魅力的なウェブサイトをつくるためには相応の知識・経験が必要です。他人のウェブサイトを模倣したいという誘惑が生じることがあるかもしれませんが、企業が自社のウェブサイトを開設し、プロバイダーのサーバーなどにデータを蓄積し、ユーザーからのアクセスに応じて閲覧できる状態にすることは公衆送信に当たり、当然ながら私的利用の例外にも当たらないことを、十分に理解することが必要です(私的利用の範囲は、狭い範囲の自己使用に限られるため、企業のウェブサイトが例外に該当しないことは明らかと言えます)。
ウェブサイトの著作物性
ウェブサイトの構成要素のうち、文字で表現されたテキストの内容は言語の著作物、写真は写真の著作物、BGMなどは音楽の著作物となり得ます。ウェブサイトのレイアウトについて美術性があると認められる場合には、美術の著作物ともなり得ます。
なお、ウェブサイトを作成するために使用するHTMLについては、プログラムの著作物に当たる余地はありますが、創作性の要件(著作権法2条1項1号)を満たす場合は多くないと考えられています。
著作権侵害の指摘を受けたら
自社のウェブサイトが他社の著作権を侵害しているとの指摘を受けたときは、まず、相手方の主張を把握し、ウェブサイトのどの部分が問題とされているのか、相手方が何を求めているのかを整理しましょう。
著作権侵害の可能性があると判断した場合、当該部分をウェブサイトから削除するなどして、速やかに侵害行為を中止します。次に、謝罪の上で、場合によっては損害賠償について協議し、和解による解決を目指します。また、著作権者の許諾を得た上で、ウェブサイトへの掲載を継続するという選択肢もあります。
一方で、侵害の事実がないと考える場合は、その根拠を整理して相手方に示しましょう。
話し合いで解決できない場合、著作権者は、民事上・刑事上の措置を取る可能性があります。民事上の措置としては、ウェブサイトからの削除などを求める差し止め請求(著作権法112条)や、損害賠償請求(民法709条、著作権法114条)が考えられます。
また、処罰に至る場合が多いとは言えないものの、著作権法違反に対しては罰則があり、刑事処分の対象となることもあります。ご質問のケースのように、従業員による侵害行為であっても、法人に対して罰金刑が科される「両罰規定」が存在する(著作権法124条)ため、注意して対応しましょう。
(弁護士・軽部 龍太郎)
