Q 当社は、働きやすい職場づくりの取り組みとして、特別休暇制度を充実させたいと考えています。従業員から要望があるのは、ボランティアや地域活動、自己啓発などで取得できる休暇です。制度の検討など、導入に向けてどのように進めるのがよいでしょうか。
A 特別休暇の導入は、目的を明確にし、従業員の心身の健康維持、モチベーション・パフォーマンス向上につなげることが重要です。休暇の対象者、日数、取得条件、賃金の有無などを定め、制度を社内に周知します。経営層からメッセージを発信し、休暇を取得しやすい職場づくりにも取り組みましょう。そして、活用の具合を見ながら「働きやすさ」を支える制度を目指してください。
休日と休暇
使用者は、労働者に毎週少なくとも1回の「休日」を与えなければなりません。労使間で取り決めれば、これを上回る数の法定外休日を労働者に付与することもできます。土日が休みの会社の場合、日曜日を法定休日と定めると、土曜日が法定外休日となります。
一方、「休暇」は、労働義務がある日において、それが免除される日であり、法定休暇と法定外休暇の二つがあります。法定外休暇の典型例としては、慶弔休暇などがあります。最近では、休暇の在り方を見直し、年次有給休暇などの法定休暇以外に、さまざまな法定外休暇を、特別休暇として導入する動きが見られます。
特別休暇は、①年次有給休暇の取得促進に資するもの、②予測できない事情に備えるもの、③従業員の多様な活動を支援するものの三つのタイプに分類されています(厚生労働省「特別休暇制度導入事例集2024」)。①は体調不良などの際に年休を使わずに休めるため、年休の取り控えを減らすことができます。②は自然災害の被災や裁判員選任など、突発的な事態が起きたときに安心して休むことができます。③はボランティアや自己啓発を後押しする休暇で、ワークライフバランスや従業員の満足度向上の効果があります。ご質問の休暇は③に該当します。
特別休暇の導入手順
特別休暇を導入する際は、次の手順で導入を進めましょう。
①導入目的の明確化:従業員の具体的なニーズを把握し、「ワークライフバランスの推進」「自己実現の支援」など制度導入の目的を設定し、会社と従業員双方にとってメリットがあることを示します。
②休暇内容の策定:利用場面や対象者、取得条件、給与の有無、付与する日数、取得頻度・回数などを定めます。事前申請を基本とし、手続き方法、証明書の要否、承認の流れなどを定めます。
③就業規則への明記:休暇の利用対象者、取得条件、付与日数など、定めた内容を就業規則に記載し、所轄の労働基準監督署へ届け出ます。
④従業員への周知:従業員には、導入する特別休暇について、目的・内容を説明します。変更後の就業規則の周知も必要です。社内通知や社内掲示、制度説明会や研修を実施して理解を深めてもらいます。
制度活用に向けた留意点
制度を活用してもらうには、次の点に留意しましょう。
①トップからのメッセージ:経営層や管理職から特別休暇の意義を伝え、従業員の心理的な障壁を取り除き、休暇を取得しやすい企業文化を醸成することが重要です。特別休暇の導入後も社内報などを通じ、利用促進を図ります。
②休暇を取得しやすい職場づくり:年休を消化しきれないことに「業務量の多さ」「業務をほかの従業員に引き継げない」など、人手不足に関わる理由があげられます。人手不足の解消や適切な人員配置、管理職が率先して特別休暇を取得するなど、休暇を取得しやすい職場にしていくことが重要です。
③制度の見直し:導入後は、従業員の意見を収集し、取得状況を把握します。定期的な調査を実施し、取得を促進するための対策を講じるなど、継続的に見直していきましょう。
(中小企業診断士・竹内 敏則)
