大船渡商工会議所(岩手県)が所有する「気仙丸」がこのほど、日本船舶海洋工学会が実施する「第10回ふね遺産」に認定された。気仙丸は長さ約19メートル、幅約6メートルで、約23トンの荷物を積載できる大型の木造千石船(せんごくぶね)。1992年に開催された「三陸・海の博覧会」に出展するため、同所が中心となって復元した。審査委員会からは「東日本大震災を乗り越え弁才(べざい)船(千石船)建造技術を後世に伝える木造帆船」として高い評価を受けた。
大船渡市周辺は寒流と暖流が交じり合う三陸漁場として古くから漁業が盛んで、江戸時代には海運で重要な千石船をつくることができる高い造船技術を持っていた。気仙丸はこの造船技術と同地域の海の文化を後世に伝えようと、同所が建造資金を集め、地元船大工組織「気仙船匠会」の手によって復元した。
これまで、「三陸・海の博覧会」へ出展したほか、NHK大河ドラマなどのロケにも利用されてきた。建造から30年以上が経過し、老朽化したことから2021年に補修・補強工事が行われ、現在は陸揚展示されている。
「ふね遺産」は、歴史的・学術的・技術的に価値のある船舶や関連施設を文化的遺産として次世代へ継承することを目的に、日本船舶海洋工学会が認定している。同所はこれまで、認定に向けて関係者への聞き取りや建造当時の貴重な資料の収集・保存を行ってきた。今後は、現在進めている気仙丸の保全プロジェクトや活用に尽力するとともに、地域の誇りとして次世代に継承していくための取り組みを進めていく。
同所担当者は「建造に関わった職人をはじめ、多くの方々の助言・尽力をいただいて、今回のふね遺産の認定をいただくことができた。地域の歴史や技術が詰まった気仙丸にとって、今回の認定が保全活動への大きな励みとなった」と感謝を述べた。
