「プロ経営者」と言われる魚谷雅彦さんには、これまでに3回お会いしたことがあります。初めて会ったのは1990年代の初めごろかと思いますが、当時の肩書は覚えていません。それから3年ほどした時、彼はコカ・コーラ社の上級副社長という名刺を持っていました。それから20年ほどすぎて対談した時には、同社の社長、会長を歴任後、マーケティングに強いプロ経営者として資生堂にスカウトされ、マーケティング統括顧問を経て、初めての外部出身の資生堂の社長に就任していました。
「ドリンクを売っていたあなたが、畑の違う業界でどうやって社長をなさるのですか?」という私の質問に、「おっしゃる通り私は資生堂の商品のことは分かりません。しかしこれまで経験してきた企業経営やリーダーシップの考え方は通用するだろうと思っています。業務は各現場の責任者に任せて、何かあったら対応します」と答えました。
資生堂の売り上げは、魚谷氏が入社した2013年には約6800億円でしたが、19年には1兆1千憶円。インバウンドやグローバルな展開の加速もあったと思いますが、約1.6倍です。営業利益は260億円を1138億円と、実に4.3倍に伸ばしています。彼は「マーケティングと組織変革のプロ」として資生堂を大きく変えたと思います。25年末に資生堂からは離れ、現在もさまざまな立場で活躍なさっておられますが、日本にも彼のようにプロ経営者と呼ばれるスゴイ方がいるのです。
