日本国内は言うに及ばず、海外でもその名が知られる地域の中核企業。地域に根差し、地域の風土、歴史、文化に寄り添い発展し続ける中核企業が実践している人材育成・成長戦略・地域貢献など、今こそ中小企業の経営者が学ぶ点は多い。
380年超の歴史はチャレンジの積み重ね あらゆる局面で“品質本位”を貫く
日本を代表する調味料・しょうゆ。大手メーカーのヤマサ醤油は、〝しょうゆのまち〟として知られる千葉県銚子市の中核企業である。地域のにぎわい創出に大きく貢献するとともに、〝食〟の分野以外での存在価値も大きい。しょうゆ醸造にいち早く科学の光を当て、最新のバイオテクノロジー研究では世界が注目する成果を挙げている。歴史あるヤマサは、進化の歩みを決して止めない。
銚子本社工場からも情報発信 しょうゆソフトクリームも大好評
日本人にとって、万能調味料といっても過言ではないしょうゆ。国内最大の産地が千葉県で、全国出荷数量の約4割を占める(しょうゆ情報センター「醤油の統計資料2024年実績」より)。その千葉県でしょうゆ醸造の歴史をけん引してきたのが、1645年創業のヤマサ醤油だ。市内に約7万坪(東京ドーム4個分)の敷地を有し、ほかに米国・オレゴン州にもしょうゆ醸造工場を持つ。
同社の本社は、JR銚子駅から徒歩10分ほどの距離にある。本社工場周辺には、香ばしい香りがほのかに漂い、〝しょうゆのまち〟の風情を醸し出す存在だ。
「お客さまから、駅に降りた時点で、すでにしょうゆの香りがしますねと言われることがあります。銚子には弊社のほかに、ヒゲタ醤油さんをはじめ、多くのしょうゆ蔵があります。しょうゆのまちとしての魅力や歴史を広く発信すべく、工場見学センターとして『しょうゆ味わい体験館』を開設して、昨年の来場者数は3万人を超えました。しかし、まだコロナ禍前には戻りきっていないのが現状です」
そう説明するのはヤマサ醤油取締役の嶋田隆さん。銚子市観光協会と連携してつくりあげた市内周遊コースには、同社の本社工場見学が含まれている。工場見学は完全予約制だが、予約なしで立ち寄れる展示コーナー「しょうゆ味わい体験館」に売店も併設。しょうゆの風味や可能性を手軽に感じていただけるスイーツとして開発した「しょうゆソフトクリーム」は、スイーツに合わせた独自製法のしょうゆを使用し、奥深い風味とコクのある甘さを引き出し、「社員自慢のソフトクリーム」と胸を張る。
2026年6月には観光スポットの一つ、犬吠埼灯台近くの複合施設「犬吠テラステラス」でも販売を開始。週末の多い日で400〜500個を売り上げる人気ぶりだという。
防犯や雇用でも地域に貢献
「弊社の経営理念は、『社会に存在価値のある企業』です。価値ある製品をつくることはもちろんですが、それだけではなく、地域の皆さまに感謝の気持ちを込めて、毎年8月に本社の隣にある中央みどり公園をお借りして『ヤマサ夏祭り』を開催しています。社員を中心に企画・運営しており、今年で43回を数えます」
事前告知は町内会の回覧板や千葉県を放送対象地域とするFM放送局「BAY FM78」で案内する程度だが、今年も市民ら約2000人が集まり大盛況となった。
