米国のAI(人工知能)のスタートアップ企業であるアンソロピック社の設立者、アモディ氏は生成AIの開発を減速しようとみんなに呼びかけている。その理由は、現在、生成AIの開発は加速度的に進んでおり、AI自らが改善する能力まで有しているため、人間はもはやそれらを制御できなくなるからだという。そして、場合によっては人類を滅亡の危機に陥れかねないからともいう▼
このように、生成AIは急速な進歩を遂げ、特に米国では、IT企業を中心に巨額の研究開発費が投じられている。生成AIは企業の業務効率化や新しいサービスの創出に役立つことはもちろん、雇用や産業構造を変化させる可能性もある▼
日本でも、政府や企業が生成AIの研究開発や利用を進めている。特に、日本が得意とする製造業やロボット技術と生成AIを組み合わせることで、人手不足の解消や生産性の向上につながることが期待されている▼
一方、欧州では生成AIの発展だけでなく、安全性や人権、個人情報、著作権などを重視したルールづくりが進められている。これは、生成AIが便利な半面、誤った情報をもっともらしくつくり出したり、著作物を無断で利用したり、偽画像や偽動画によって社会を混乱させたりする危険性があるためである▼
今後の課題は、生成AIの利便性を生かしながら、その危険性をいかに抑えるかという点にある。そのためには、情報の真偽を確認する仕組みや個人情報を守る制度、利用者が生成AIを正しく理解するための教育も必要である。日米欧は、それぞれの技術や制度面での強みを生かし、技術革新と安全性を両立させながら生成AIを社会に適切に活用していくことが肝要である
(政治経済社会研究所代表・中山文麿)