4月1日、ポルトガル国内を大きなニュースが駆け巡った。サッカー、ポルトガル1部リーグ、ポルティモネンセの中島翔哉選手(MF・FW)が「26億円でジダンのチームへ行く」と報じられたのだ。ジダン(監督)のチームとは、スペインの超名門クラブ、レアル・マドリードのことである。昨年からポルティモネンセでプレーする中島は、高速のドリブルで相手を抜き去り、貪欲に放つシュートと的確なパスセンスで一躍ポルトガルのサッカーファンの注目を集めている。そんな中島が、いきなりレアルに移籍? ポルティモネンセのサポーターもさぞや驚いたことだろうが、これにはオチがあった。そうエイプリルフールの冗談だったのだ。それでも中島には、もしかしたらという可能性があるから通用したジョークであり、このジョークは彼の能力の高さと期待の大きさを示している。事実、ポルトガルの名門ポルトやベンフィカ、香川真司が所属するドイツのドルトムントなどが強い関心を持っていると伝えられている。
23歳の中島が、日本代表初招集でいきなり強烈なインパクトを残したのは、3月23日、ベルギーで行われたマリとの国際親善試合だ。後半15分から投入された中島は、左サイドから得意のドリブルで切り込み何度もチャンスを創出した。そして迎えたロスタイム、中盤でボールを持つとすぐさまゴール前に供給し、そのままスピードを生かして駆け上がる。右サイドでその動きを察知した三竿健斗(鹿島)からゴール裏へクロスが入ってくる。このボールに中島が左足のボレーで合わせて日本代表は何とか1対1の同点に追いついた。中島にとって代表初出場初得点のゴールだった。
身長164㎝、体重64㎏。
アルゼンチンのマラドーナやメッシにも似た小柄な体格だが、切れ味抜群のプレースタイルでも彼らとイメージが重なる。東京ヴェルディの下部組織で育ち、日本ではカターレ富山やFC東京でプレーしていた。16年リオデジャネイロ五輪にも出場し、17年夏から期限付きでポルティモネンセに移籍した。
6月に迫ったW杯ロシア大会。最終メンバーに中島は残れるのか。いや彼こそが切り札だ。「自分の武器や特徴を出すことが日本にとって大事」と謙虚だが、誰も止められないこの選手をW杯でぜひ見たい。
写真提供:産経新聞
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