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テーマ別企業事例 社内が変わる!社員が変わる!なるほど、“健康経営”ビフォーアフター

事例3 約85%がメタボ対策に成功“従業員ファースト”で業績も向上

沖縄債権回収サービス(沖縄県那覇市)

協会けんぽによるワークショップを定期的に開催

沖縄債権回収サービス(通称・おきなわサービサー)は、沖縄県でサービサー(債権回収)業務、M&A・事業承継、経営改善・事業再生支援などを行っている。社内の人材育成を最大の経営マターとする。8年前に「ヘルシーカンパニー」を目指すことを基本方針とした。経営者が先頭に立って健康経営を推進し、従業員の心と体の健康づくりに全社を挙げて取り組んでいる。

ショックな出来事を機に社員の健康管理に取り組む

1999年2月1日に「債権管理回収業に関する特別措置法」(略称「サービサー法」)が施行されたのを受け、おきなわサービサーは沖縄県内の不良債権の処理と流動化の促進を目的に、県内の主な金融機関が株主として参画して同年8月に設立された。

その3年後の2002年に単年度黒字に転換したのを機に、「人材こそ最大の経営資源」というポリシーの下、国家資格取得チャレンジ支援制度を導入。これは、従業員が国家資格を取得するために必要なテキスト代や受講料、受験料、試験の際の旅費交通費を会社が全額支援する制度である。しかも合格すると、資格の難易度に応じて奨励金も支給している。

そして12年4月、第四次中期経営計画で「ヘルシーカンパニー」を目指すことを基本方針とし、産業医による月2回の社内健康相談会を始めた。これを推進してきたのが、同社会長の平良孝夫さんである。平良さんは会社設立当時から役員として経営に加わり、05年には社長に就任し、17年から会長を務めている。

「その前年に社員の一人をがんで亡くしました。がんが見つかったときにはすでに末期で、会社は退職願を受け取らず、野辺送りまで社員の身分のままにしました。ショックな出来事でしたが、ちょうど中期経営計画を決める時期でしたので『ヘルシーカンパニー』を基本方針にして、産業医を選任し、協会けんぽ(全国健康保険協会)とタイアップして社員の健康管理に本格的に取り組むことにしたのです」

その取り組みの一環として、会社から全従業員に万歩計を支給し、協会けんぽの指導員のもと、全従業員に毎日の歩数計測とその報告をさせるようにしていった。

喫煙者が大幅に減少し有給休暇消化率も向上

健康経営を始める以前、会社は社員の健康管理にあまり力を入れていなかったと平良さんは言う。

「社員全員に人間ドックや健康診断を受けさせていましたが、結果に対するフォロー制度がなく、その後は社員任せでした。また、社内喫煙も容認していて、喫煙率は35%と、全国平均の20%前後より高かった。残業管理体制も脆弱(ぜいじゃく)で、月に50時間も残業している人もいたほど。健康経営を始めてからは、徐々にそういうところにメスを入れていきました」

17年5月から「スーパープレミアムフライデー」(毎月第1か第3の金曜日に有給休暇の半日取得で12時30分に退社する制度)や時間休制度を導入し、有給休暇を完全に消化した従業員には3万円の奨励金を支給するなどして有給休暇消化率が大幅に向上。19年度は80%を超える見通しとなっている。残業管理については、毎週水曜日のノー残業デーの実施、残業管理の徹底などで、現在では一人当たり月間4〜5時間となっている。

健康支援では、社内を全面禁煙にして、喫煙者には禁煙外来費用の全額補助、禁煙成功者には奨励金3万円を支給している。これにより、禁煙に同意していない2人を除き、喫煙者は2人にまで減っている。メタボ対策では、肥満度を表すBMIが適正基準を超える従業員13人を3チームに分け、楽しんで競い合いながらダイエットに励んでいる。これにより現時点では11人が減量に成功している(マイナス4・5㎏)。

心の健康についても、社内に「ハッピーカンパニー推進委員会」を設置し、風通しの良い社内環境の醸成や福利厚生の充実に取り組んでいる。このような全社を挙げた努力により、17年には沖縄県健康づくり表彰の事業所部門でグランプリを受賞。翌18年には経済産業省から健康経営優良法人(中小企業部門)に認定されている。

経営の基盤は人づくりにあり

健康経営を始めて以来、業績も順調に伸び続けている。従業員賞与も、夏・冬の定例賞与(基本給の4・4カ月分/年)に加え、会社の業績により支払われる決算賞与が、健康経営開始時の0・5カ月分から、昨年と今年は1・5カ月分と、3倍にまで増加している。

「働き方改革と生産性革命は一体であるべきです。働き方改革は、残業を減らしたり、休みを増やしたりと、ゆとりある労働環境を従業員に提供することです。しかし、生産性がそのままでは会社の業績は右肩下がりになり、従業員は幸せになれません。従業員を幸せにすることが究極の健康経営と考えれば、生産性も思い切って大きく変えていかないといけません」

生産性を上げて初めて健康経営は意味を持つようになる。同社では“異次元の3S活動”と称して、物理的3S(机、社内、倉庫を徹底的に整理・整頓・清掃)、業務3S(週間業務見積もり・PDCA=業務改善タイムの導入など)、データ3S(データの整理、データ検索の容易性向上など)を毎日30分、業務時間内に行うことで、業務の効率化を図っている。

「健康経営とは、単に従業員の健康状態を管理することではなく、心と体を健康にすることで、従業員の心のありようを健全にするということです。従業員を大事にして、お客さまを大事にして、そして社会に貢献するという具合に、会社のベクトルが一方向に向いていることが、本当の意味での健康経営ではないでしょうか。全ての経営の基盤は人づくりにある。これを忘れなければ、健康経営は自然と続けていけると思います」

“従業員ファースト”をモットーとする同社では、健康経営による人づくりこそが、これからの会社の発展と継続の基礎となっている。

会社データ

社名:株式会社沖縄債権回収サービス(おきなわさいけんかいしゅうさーびす)

所在地:沖縄県那覇市西1-19-7

電話:098-860-4393

代表者:平良孝夫 代表取締役会長

従業員:76人

HP:https://okinawa-svc.co.jp/

※月刊石垣2020年4月号に掲載された記事です。

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