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平成27年度中小企業・小規模関係予算案(概要) 中小対策予算は1856億円 切れ目ない執行を

平成27年度中小企業・小規模事業者関係予算案(概要)

政府はこのほど、平成27年度政府予算案を閣議決定した。日本商工会議所 の三村明夫会頭は、「安倍政権が進める地方創生と財政健全化の両立実現に強い意欲を示す予算案となった」と評価。一方、毎年1兆円規模で増加する社会保障費については、消費税率10%への引上げ延期による税収減を踏まえ、「さらなる重点化・効率化を徹底されたい」と注文をつけている。政府は、平成26年度補正予算案と本予算案を早期に成立させ、15カ月予算として間断なく執行することを目指している。特集では、予算案のうち、中小企業・小規模関係予算案の概要を紹介する。(こちらを参照)

1 福島・被災地の復旧・復興

◆中小企業組合など共同施設など災害復旧事業(グループ補助金)【復興】400.0億円(220.7億円)

中小企業などグループの復興事業計画に基づく施設復旧などを支援する。 

その際、従前の施設復旧などでは、事業再開や継続、売上回復が困難な場合、これに代えて、新分野需要開拓などを見据えた新たな取り組み(新商品製造ラインへの転換や市場調査など)を支援する。

◆被災中小企業・小規模事業者などへの再生支援【復興】30.6億円(35.5億円)

事業者の二重債務問題のほか、震災の影響により業況が悪化している被災事業者の再生支援に対応するため、被災6県に設置された「産業復興相談センター」において、被災事業者からの相談を受け付け、相談者の状況に応じて、再生計画策定支援や「産業復興機構」に対する債権の買取要請などを実施する。 

◆被災中小企業・小規模事業者などへの資金繰り支援【復興】201.0億円<うち財務省計上108.0億円>(105.0億円)

東日本大震災により被害を受けた中小企業・小規模事業者などに対して、日本政策金融公庫の「東日本大震災復興特別貸付」による低利融資などを実施する。

2 円安による原材料・エネルギーコスト高対策や消費税転嫁対策など

◆きめ細かな資金繰り支援963.5億円<うち、財務省計上720.6億円>(950.7億円)

政策金融・信用保証制度により、中小企業・小規模事業者に対する資金供給の円滑化を図る。

◆消費税転嫁状況監視・検査体制強化など事業38.7億円(46.3億円)

取引上の立場の弱い中小企業・小規模事業者は、取引相手から転嫁拒否などの違反行為を受けている旨を自ら申し出にくいという実態があることから、昨年度と同様に悉皆的な書面調査を実施し、474人体制で万全な情報収集・取締りを実施する。

◆中小企業再生支援協議会事業44.8億円の内数(44.4億円の内数)

事業の収益性はあるものの財務上の問題を抱えている中小企業・小規模事業者の経営改善・事業再生を支援するため、中小企業再生支援協議会の常駐専門家による窓口相談、再生計画策定支援およびモニタリングなどを行う

◆経営者保証ガイドラインの周知・普及事業1.0億円(新規) 

「経営者保証に関するガイドライン」の周知・普及により、個人保証に依存してきた融資慣行を改善し、中小企業・小規模事業者の思い切った事業展開や早期の事業再生などを促進する。

◆中小企業取引適正化対策事業委託費5.5億円(5.7億円)

下請代金支払遅延など防止法の厳正な運用や周知徹底、また全国48カ所に設置されている下請かけこみ寺における相談体制の強化を行うとともに、官公需情報の提供を行うことで取引の適正化を図る。

◆下請中小企業・小規模事業者自立化支援対策費補助金5.0億円(7.5億円)

特定の親事業者との取引に依存する経営から脱するために、小規模事業者などのグループが行う自立化に向けた取り組みを支援する。また、親事業者の生産拠点閉鎖・縮小に直面する下請中小企業・小規模事業者が行う新分野の需要開拓活動などを支援する。

※平成26年12月16日の政労使会議で確認された「経済の好循環の継続に向けた政労使の取り組について」に基づき、政労使が一致協力して、仕入価格の上昇などを踏まえた取引の適正化に総合的に取り組む。原材料エネルギーコストの適正な価格への上乗せなど、取引の適正化について、さまざまな機会を活用して、要請する。

3 小規模事業者支援対策の強化

◆小規模事業対策推進事業46.5億円(18.8億円)、関連26補正252.2億円

改正小規模支援法に基づき商工会議所・商工会が取り組む伴走型の小規模事業者支援を推進し、小規模事業者の需要を見据えた事業計画の策定や販路開拓などを支援するとともに、地域一体となって取り組む特産品の開発や販路開拓などを支援する。

◆小規模事業者経営改善資金融資事業(マル経融資)など40.0億円(40.0億円)

日本政策金融公庫が、商工会議所・商工会などの経営指導などを受けた小規模事業者に対し、無担保・無保証人・低利で融資を行う。また、認定経営発達支援計画に基づく事業計画策定支援などを受けた小規模事業者に対し、低利で融資を行う

◆小規模事業者など人材・支援人材育成事業4.5億円(4.7億円) 

次世代の経営人材を育成したい中小サービス事業者などに対し、優れた取り組みを行う企業や成功地域へのインターンシップを組成する。また、小規模事業者を支援する経営指導員に対し、事業者に応じた伴走型支援を実行するための研修を実施する。

(参考)平成26年度補正予算における関連事業

◆小規模事業者支援パッケージ事業252.2億円

商工会議所・商工会と取り組む販路開拓を支援し(小規模事業者持続化補助金)、複数の事業者が連携した取り組みも支援するほか、雇用増加や、買い物弱者対策に取り組む事業者を重点支援する。また、物産展やアンテナショップなどの販路開拓支援や、商工会議所・商工会の伴走型支援の推進など、パッケージで小規模事業者支援を実施する。

4 地域の中小企業・小規模事業者の活性化

◆中小企業・小規模事業者人材対策事業10.0億円(新規)関連26補正60.1億円

地域の中小企業・小規模事業者のニーズを把握し、都市部の若手人材などを発掘し、地域事業者とのマッチングを行う拠点を整備するとともに、地域事業者への定着までを一貫支援する。また、ものづくり現場でのカイゼン活動指導者の育成・派遣を実施する。

◆ふるさと名物応援事業16.1億円(新規)、関連26補正40.0億円 

中小企業・小規模事業者が、地域資源の活用や農商工連携により行う「ふるさと名物」などの新商品・新サービスの開発・販路開拓等を支援する。また、「ふるさと名物」などの地域の魅力を活かした海外展開を支援する。

※「ふるさと名物」については、あわせて、「地域住民生活など緊急支援のための交付金」により、「ふるさと名物商品券」として消費を喚起する。

◆中小企業・小規模事業者海外展開戦略支援事業25.0億円(22.8億円) 

JETROおよび中小機構が連携し、海外情報提供や国内外展示会出展支援、輸出準備を含めた海外展開の実現可能性調査(F/S調査)支援を行う。また海外現地の官民支援機関が連携した支援体制を整備し、進出後の課題や事業再編などを支援する。

◆企業取引情報などに基づく地域活性化事業2.2億円(新規)、関連26補正5.0億円

「地域経済分析システム」(民間調査会社などや政府が保有するビッグデータを活用して地域における産業構造や人・モノの流れをマップ形式で可視化するシステム)の運用、データの更新およびユーザーの要望を踏まえた改良を行う。

◆中小企業・小規模事業者ワンストップ総合支援事業39.0億円(41.2億円)

地域の支援機関などと連携しながら、中小企業・小規模事業者が抱える売上拡大などのさまざまな経営課題に対して最適な手法を選択して支援を行う拠点を各都道府県に整備する。また、専門的な経営課題などの相談に対応するため、専門家派遣を実施す。

◆地域商業自立促進事業23.0億円(39.0億円) 

少子高齢化や外国人への対応、創業支援など、社会構造の変化の中で商店街が中長期的に発展していくための取り組みに対して支援する。

◆中小企業連携組織対策推進事業7.1億円(5.6億円) 

中小企業・小規模事業者の連携・組織化の推進などを図るため、中小企業・小規模事業者の集合体である組合などへの支援を行う。また、外国人技能実習生受入事業を行う組合(監理団体)などの事業の適性化を支援する。

◆地域を支える中核企業に対する貸付制度 財政投融資80.0億円(新規)

地域の中核企業となる中堅・中小企業に対し、商工中金が、新市場開拓・新事業展開、研究開発、経営改善・再編などへ取り組む際に必要となる長期性資金(長期・一括返済・成功利払い)を供給する。

◆グローバルニッチトップ企業を目指した海外展開支援 財政投融資180.0億円(135.0億円)

グローバルニッチトップを目指す中堅・中小企業に対し、商工中金が海外に乗り出す際に必要となる長期性資金(長期・一括返済・成功利払い)を供給する。

(参考)平成26年度補正予算における関連事業

ふるさと名物応援事業40.0億円 

地域資源を活用した「ふるさと名物」の開発、販路開拓について、商工会議所・商工会、地域金融機関、大学・専門学校などを巻き込み、地域一体となって行う取り組みなどを支援する。

※「ふるさと名物」については、あわせて、「地域住民生活など緊急支援のための交付金」により、「ふるさと名物商品券」として消費を喚起する。

5 中小企業・小規模事業者のイノベーションの推進

◆商業・サービス競争力強化連携支援事業9.9億円(新規) 

中小企業が、「新連携」の認定を受け、①「中小サービス事業者の生産性向上のためのガイドライン」に沿って行う、または、②産業競争力強化法に基づく「企業実証特例制度」もしくは「グレーゾーン解消制度」を活用して行う、革新的なサービス開発を支援する。

◆革新的ものづくり産業創出連携促進事業128.7億円(新規)、関連26補正1020.4億円 

中小ものづくり高度化法に基づく特定ものづくり基盤技術に「デザイン開発技術」を加え、中小企業が産学官連携して行う技術開発などを支援する。また、中小企業が大企業や大学などの知見を活用して行う研究開発も支援する。

6 創業・事業承継の促進

◆創業・第二創業促進補助金7.6億円(新規)、関連26補正50.4億円 

地域活性化に向け、地域経済の新陳代謝を図るため、新たに起業を目指す女性・若者などの創業者や、事業承継を契機に既存事業を廃業し、新分野に挑戦する第二創業者が行う取り組みを支援する。

◆中小企業再生支援協議会事業(事業引継ぎ支援事業44.8億円の内数(44.4億円の内数)

M&Aを促進するため、後継者不在企業と中小企業などのマッチングを支援する「事業引継ぎ支援センター」を拡充する(現在16カ所↓27年度47カ所)とともに、後継者不在企業と起業意欲あふれる個人とのマッチングを支援する「後継者バンク」を新たに設置する。

◆地域創業促進支援委託事業4.4億円(7.5億円) 

全国で「創業スクール」を開催し、創業予備軍の掘り起こしから、起業・創業に関する基本的知識・スキルの習得、ビジネスプラン策定までを支援する。また、大学などの起業家教育の普及や小中学校を対象にした地元起業家などとの交流などの取り組みを支援する。

◆地域課題解決ビジネス普及事業0.6億円(新規) 

介護、保育などの地域が抱える課題をビジネスの手法により解決する中小企業・NPOなどの取り組みを支援する。