今回はちょっと哲学的な話、自己肯定感と自己犠牲感について考えましょう。 骨を折って人のためや会社のために何かをしたとき、それに対する評価や相手の態度によって、人は自己犠牲感、「自分を犠牲にしてこれほどやってやったのに……」という恩着せがましい感情にさいなまれることがあります。そうなると、「俺のやったことが何の役に立つのか」とか、「こんな苦労しているのに誰もそれを理解してくれない」といった不幸な思いにも包まれてしまうのです。
一方、同じことをしても評価や見返りを気にしなければ、「私はこれが好きだから……」とか、「やるべきだから……」と納得し、自己肯定感で満たされます。判断の物差しが自分の中にある人は自分を認めつつ、他人に愛情を持って接することができるものです。
どちらの感情も、実際のところ本人には認識されず、表に出ないことが多いかもしれません。しかし両者の精神状態には大きな違いがあります。自己犠牲感は、会社や他人への不満として心に蓄積され、他人を恨んだり、自分を否定する不幸な感情を生み出します。自己肯定感を持って仕事に臨むのと、自己犠牲感を抱きつつ仕事をするのでは、周囲への影響ばかりか、仕事の結果が大きく変わってきます。
特定の社員の心の中をイメージしてみてください。自己肯定感と自己犠牲感のどちらが強いでしょうか。人は皆、育った環境によって精神構造が大きく異なります。思考の習慣は本人の責任と考えないことです。できるだけ自己肯定感の強い社員を社内で育てたいものです。自己肯定感の強いスタッフが多くなると、自主的な行動が増えて社内が明るくなるとともに、お客さまへのサービスの質が高まってきます。
では、自己犠牲感の強い人にはどのように対応すればよいのでしょうか。まず、些細なことでも良いので、褒めてあげてください。褒めることがなければ、「顔色良いな」「面白いネクタイしているな」でもいいのです。自分が気にかけられていると感じさせることがポイントです。その上で仕事の目的を説明することで、使命感やモチベーションを高めるのです。もし、大変な仕事を抱えていたら、今これをやることが君の成長のために必要であり、そのことがメリットを生むと伝えるとよいでしょう。「つべこべ言わずにやれ」では、自己犠牲感が高まるばかりです。やがて不満がクーデターや退職につながりかねません。 自分のやっていることへの理解を深めること。それが自己犠牲感を自己肯定感に変える唯一の方法なのです。
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