日本商工会議所は18日、「地方創生と中小企業の活力強化のための規制・制度改革の意見50」を取りまとめ、政府の規制改革会議(議長=岡素之住友商事相談役)、経済財政諮問会議、産業競争力会議などに提出した。日商の中村専務理事は同日、規制改革会議の岡議長を訪問し、意見書を手交。意見書で提言している規制・制度改革について早期に実現するよう働きかけた。
意見書は、2月から3月にかけて各地商工会議所を通して会員企業などにヒアリングを行い取りまとめたもの。中小企業のイノベーションや新市場の創出につなげるべく「地方創生」「中小企業の活力強化」「規制・制度改革の推進」の視点から問題点を挙げて、具体的な解決策を提言している。
最も多かったテーマは「観光産業の振興」(9項目)。国家戦略特区で認められている古民家などを活用した宿泊施設に対する旅館業法の特例措置について、その適用除外となる対象を広げるとともに、全国の希望する地域に拡大することや、構造改革特区で認められている「旅行業務取扱管理者」が他の業種との兼任でも「地域限定旅行業」に登録できる特例措置について、全国の希望する地域に適用拡大することなどを求めている。
「創業・起業・ベンチャーの支援」(8項目)では、円滑な事業承継を推進するため、飲食店を営む者が生前に自分の子に営業を譲渡する場合の手続きを簡素化すること、地方における創業の促進を図るため、開業手続きに関するワンストップセンターを全国に設置することなどを提案している。
「地域の安心安全を支える基盤づくり」(7項目)では、市街地再開発事業における建築物の階数の条件(3階以上)について、都市規模などに応じて緩和することなどを提示。そのほかにも、株式会社の農地の直接所有、訪日ビザの発給要件の緩和、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格要件の実務経験の短縮化、外国人技能実習制度の対象職種の追加などを提案している。
また、規制・制度改革を推進するため、複雑化した特区制度などの位置付けや内容の整理・体系化、「地方版規制改革会議」の早期設置なども盛り込まれている。
規制・制度改革の意見50(抜粋)
○観光産業の振興
国家戦略特区で認められている古民家などを活用した宿泊施設に対する旅館業法の特例措置について、その適用除外となる対象を広げるとともに、全国の希望する地域に拡大すること
○強い農林水産業づくり
水耕栽培用の植物工場について「農地」の地目のままでの建設を認めること
○地域の安心・安全を支える基盤づくり
市街地再開発事業における建築物の階数の条件(3階以上)について、都市規模などに応じて緩和すること
○創業・起業・ベンチャーの支援
円滑な事業承継を推進するため、飲食店を営む者が生前に自分の子に営業を譲渡する場合の手続きを簡素化すること
○サービス業の生産性向上
多様な理・美容ニーズに応えるため「理・美容車」の許可基準のガイドラインを国が作成すること
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