前回は、カウンセリングのすごい力について浅田真央さんの例を挙げましたが、今回はコーチングの成功事例をもっと身近な話で紹介しましょう。トップは社員に対してコンサルティング、コーチング、カウンセリングなどあらゆる形でバックアップし、成長を促すわけですが、それはコンサルタント業務も同じです。
あるとき、大阪市内で2軒のはんこ屋さんを経営している社長から「今日は心斎橋の店を見てもらえますか。15年前に出店してこの8年は息子に任せてきたのですが、うまくいかないんです」という相談を受け、見にいきました。北側には大阪の中心的業務地区の船場があり、南側は名だたる飲み屋街。その間に位置する普通のまちのはんこ屋さんです。
ご子息は大学を出てから、3年間よそで修業して実家に入って、心斎橋の店の責任者になりました。すでに私のチラシセミナーを受けており、それで何とかやっていけてるものの、既存のお客さまが徐々に減っていることを悩んでいました。はんこ屋の場合はチラシを打ったら、他にはあまりなす術がないので、親父さんに話を聞いてみました。
「この店のオープン時はどうやってお客さまを集めましたか?」
「そりゃぁ、伝票一式の見積もりをつくって商店や会社の総務を回り、他社を上回るスピード感と小回りを強調したんですよ。飲み屋街の方は18時から20時に看板に電気が入ったところからドアを叩いて、領収書一部でも電話一本でお届けしますよっていう営業をやりましたねー」と言うではありませんか。聞いてみると、ご子息はこういった泥臭い営業をやっていませんでした。
即座に方針は決まりました。現在の営業時間の10時から18時までを14時から22時に変え、14時から20時まではパートに店番をしてもらって、18時以前は船場方面、それ以降は飲み屋街の営業に出る。20時以降は店にいて、急な注文に自分で対処することにしました。ご子息も本気で取り組んだので、2年で業績は元以上に戻ったのです。
これをコーチングと言います。答えは全て自分たちが持っていたのです。しかし本人たちはそのことに気が付かない場合が非常に多いのです。コーチングでもカウンセリングでも、リーダーは状況を因数分解し、行く先までの道筋を共に確認したうえで、明かりを指さし背中を押します。そして大事なことは、目的を達成するまで経過を共に確認する、ということです。
お問い合せ先
社名:株式会社 風土
TEL:03-5423-2323
担当:髙橋
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