『石垣』という誌名に、強い親近感を覚えます。この名称は、日商の永野重雄元会頭が「大きな石ばかりではなく、大小さまざまな石が組み合わされて、強く美しい石垣となる。日本経済や企業や組織も同様」との意味から名付けられたと聞いています。私が特別な気持ちを感じるのは、国宝の城、それも魅力的な石垣を持つ彦根城のある彦根市に在住しているからです。ちなみに彦根商工会議所の会報(月刊)のタイトルは『不易流行』。俳聖・松尾芭蕉が説いたといわれているこの言葉は、城下町彦根がこだわり、磨き上げたい思いを表していると思っています。
当所が位置する滋賀県東部は、本州のほぼ中央に当たります。新幹線や高速道路が通っており、いわゆる交通の便が良い場所ですが、その優位性を十分生かしきれておらず、域内GDPや人口では厳しい状況が続いています。従来型の工場誘致や住宅開発などによる経済活性化策からの転換が必要な時期にきています。
そこで、人口減問題と大都市との経済格差対策として、地域連携ネットワーク組織「近江インバウンド推進協議会」(いわゆるDMO)を設立しました。これは3市4町の商工会議所・商工会が中心となり、行政と協働で内外からの来訪者増加を目指し、圏域内を集客交流エリアにすることで、経済の活性化につなげようというもの。従来とは異なり、参加会員の業種は多種多様。商工会議所・商工会の会員に広く参画していただいています。参加メンバー全員が各地域において、消費額増大と投資の拡大に挑戦しています。また、長期的・継続的に事業を行うために協議会組織を法人化するとともに、実行段階でニーズが出てくる事業を新規創業につなげていきたいと考えています。
少し自らの事業について述べさせていただきます。メーン事業は、食器(陶器・ガラス製品など)の企画・製造販売です。常に世の中に無いものをつくり出してマーケットに打ち出すことに存在価値を求めてきました。オンリーワンになるためにはイノベーションによる「個別化」の必要性があります。「差別化」するよりも新しい何かを生み出すことに注力してきました。現在は、私の存在感を消すことも必要だと思っています。そのことで、社内に次のステージへ進むイノベーションが起こることを期待しています。
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