気軽に相談できる場所をつくりたい
てまりグループ 株式会社スパーテル/株式会社EHMメディカル 代表取締役 橋本 昌子
地域の人に愛され、頼りにされる、日本一親切な薬局を目指す
足を運ばれる方の気持ちが和む存在に
薬剤師として20年以上、病院や製薬会社、薬局で勤務した後、地域に根差し、愛され頼られる薬局をつくりたいと思い、平成19年に会社を設立しました。薬局は昔から、健康や薬のことなど気軽に相談できる場所でした。これからますます、薬局のそのような役割が重要になると考えたからです。会社名のスパーテルとは、ドイツ語で薬を調合する「薬さじ」のことです。
20年4月に念願の1号店「てまり薬局」を開設。初めは、スタッフと私の4人でした。薬の知識や丁寧な説明は当たり前、薬局に足を運ばれるのは体の悪い方が多いので、気持ちが和んでいただけるように「日本一親切な薬局を目指します」と理念を掲げてスタートしました。
開設後は、調剤や医薬品の販売などを行う傍ら、子どもたちを集めて「こどもお薬教室」を定期的に開催したり、地域住民の啓発講座「てまり井戸端会議」を開くなど、地元での取り組みを重視しています。また、超高齢社会となった今、自宅で療養する方の在宅医療や、自宅で終末期を過ごすがん患者さんの痛みを和らげ、生活の質を上げるためのケアに力を入れています。
現在「てまりグループ」として薬局10店舗と有料老人ホームを運営し、パート・アルバイトを含めると、従業員は80人を超えました。
試練を乗り越え会社も成長
会社は成長に伴い、それに応じた組織へ変化させ、強化していかなければいけません。そう考えるようになったのは、会社設立3年目、社員が20人近くになったころ、試練に直面したことがきっかけです。伝えたと思ったことが伝わっていない、よかれと思ってすることにも反発される、指示命令系統が機能しなかったのです。
危機を感じ、会社の基盤づくりに力を注ぎました。プロジェクトを発足させて経営理念を見直すとともに、幹部社員の育成、社長の役割や総務の役割を勉強し、組織図を見よう見まねでつくりました。また、会社の方向性を共有するために中長期計画を策定。チームで働くということはどういうことか、経営者と社員の視点の違いなど、今まで知らなかったことに私自身も気付くことができました。
独居の高齢者の割合が増え、最期の看取りをどうするか、認知症への対応などが問題になっています。このような課題に取り組むため、一昨年、福祉事業部を立ち上げました。昨年4月にオープンした有料老人ホーム「ひなの家」には、医療と介護をつなぎ、安心して最期まで過ごせる家をとの思いを込めています。
これからは、医療や介護分野で働くスタッフがやりがいを持って仕事ができるような仕組みをつくり、経営理念である「地域のすべての人に、より良い未来を創造する」ために、地域の医療・福祉・教育のネットワークの確立を目指していきます。
会社データ
社名:株式会社スパーテル
所在地:石川県金沢市
創業:平成19年
事業概要:小売・医療・福祉(薬局・有料老人ホーム)
※月刊石垣2014年3月号に掲載された記事です。
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