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スポーツライター 青島健太の注目アスリート トリプルスリーを達成しても向上心を失わない山田哲人選手

写真提供:産経新聞

新年1月号には、やはり「1」を背負った選手がお似合いだろう。東京ヤクルトスワローズ、山田哲人内野手だ。2015年の流行語大賞にも選ばれた「トリプル3」をやってのけた男だ。打率3割、30本塁打、30盗塁。簡単に言えば何でもできるスーパースターである。

その偉業に応えるように球団は、今シーズンからそれまでの「23番」に代わって「1番」を山田選手に用意した。年俸も6年目で2億円を突破した(推定2億2000万円)。高卒の野手としては3人目の快挙だ。ちなみに他の2人は、イチロー選手と松井秀喜氏である。これは山田選手がどんなレベルの選手なのかを雄弁に語るバロメーターといえるだろう。偉大な選手2人に年俸の上昇スピードで肩を並べた山田選手だが、契約後のコメントは控えめなものだった。「気持ちよくサインしました。無駄遣いしないようにします」

もしかすると去年のもう一つの流行語大賞「爆買い」を意識した発言だったのかもしれないが、「無駄遣いしない……」という自制の効いた言葉に、彼の野球への姿勢がそのまま表れていた。

山田選手は2014年にも偉大な記録を塗り替えている。これまで日本人右打者のシーズン最多安打は、1950年に藤村富美男選手がつくった「191本」だったが、山田選手は「193本」を打ってこれを更新した。また昨シーズン、本塁打王と盗塁王のタイトルを同時に獲っている。これも史上初の快挙だ。しかし、これだけの記録を残しながらも山田選手は、練習時間を全く無駄遣いしないのだ。

杉村繁コーチと続ける試合前の打撃練習は1時間以上にも及ぶ。さまざまな種類の「ティーバッティング」を行い、フォームを確認し、つねにスイングのスピードアップを図っている。今では、そのバットスピードは球界一とも言われている。とにかく練習で打って打って打ちまくる。これこそまさに「練習の爆買い」である。

山田選手のバッティングは、高く構えたバットが、ボールに一直線に出てくることでコンパクトなスイングと破壊力のある打撃を両立させている。「トリプル3を2度達成した人はいない。自分が初めてできるように頑張りたい」と大記録達成にも満足していない。背番号1が目指すのは、もちろんチームの日本一。山田哲人、今年も大注目の選手だ。

青島 健太 スポーツライター&キャスター 1958年新潟市生まれ。埼玉県立春日部高校から慶応義塾大学、東芝を経てヤクルト・スワローズに入団。プロ野球初打席で初ホームランを記録。引退後は、オーストラリアで日本語教師を務め、帰国後、あらゆるメディアでスポーツの醍醐味を伝えている。

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