厚生労働省の中央最低賃金審議会はこのほど、2018年度地域別最低賃金額改定の目安について、加藤勝信厚生労働大臣に答申した。今年度の目安が示した引き上げ額の全国加重平均は26円となった。各都道府県の引き上げ額の目安は、都道府県の経済実態に応じ、全都道府県をABCDの4ランクに分けて提示。Aランク(東京、愛知など6都府県)は27円、Bランク(京都、広島など11府県)は26円、Cランク(北海道、徳島など14道県)は25円、Dランク(福島、沖縄など16県)は23円となった。
審議会に先立ち開催された目安に関する小委員会(中央最低賃金審議会の下部組織)では、労使双方の意見に大きな隔たりがあることから、最終的には公益委員による見解が示されることになり、その見解が審議会の答申となった。今後は、各地方最低賃金審議会で、この答申を参考にしつつ、地域における賃金実態調査や参考人の意見なども踏まえた調査審議の上、答申を行い、各都道府県労働局長が地域別最低賃金額を決定する。
同小委員会では使用者側委員から、「最近の経営環境は、急激な原油価格の上昇、原材料価格の増大、労働力の確保が困難な状況による人件費の高騰など、経営コストの上昇圧力が非常に強く、中小企業の景況感は総じて悪化している。中小企業の経営者は賃金支払い能力が乏しい中、深刻な人手不足に対処するために、実力以上の賃上げを強いられているのが実態」と中小企業が置かれている厳しい経営環境を強調。「最低賃金は全ての企業・使用者にあまねく適用され、下回る場合は罰則の対象になることから、通常の賃上げとは性格が異なる。政府による各種支援策の効果はいまだ十分に上がっているとはいえない」として、近年の大幅な引き上げによる企業経営への影響を十分に考慮した審議を行うよう主張した。
詳細は、https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000172722_00001.htmlを参照。
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