今月は、高知県の地場産業として伝統的な製法を受け継いでいる、土佐打刃物の包丁をご紹介します。
武士が活躍した鎌倉時代後期、大和国から土佐に移り住んだ刀工によって刃物の製法が伝えられ、この地に深く根付いたのが土佐打刃物の始まりです。刀剣としてだけでなく、農・林業用の道具としても必要とされ、その生産技術が向上。江戸時代初期に、現在の製法が確立されました。
大量生産される刃物は「プレス抜き」が一般的です。一方、土佐打刃物は、あらかじめつくられた型を用いない「自由鍛造(たんぞう)」という手法で製作。全て手づくりのため、高い技術を要しますが、使う人の要望に応じたさまざまな刃物を打ち出すことができ、二つとないこだわりの逸品をつくりあげているのです。
昭和48年に創業した迫田刃物の二代目・迫田剛さんは、品質管理の徹底や技術の向上などさまざまな挑戦を続けている名工。また、技術を守る後継者育成にも力を注いでいます。
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