Q 最近、「SDGs」(エスディージーズ)という言葉を耳にすることが増えているのですが、いったい何でしょうか。企業経営などに関係あるのでしょうか。
A SDGsというのは、「Sustainable Development Goals」日本語訳すると「持続可能な開発目標」です。2015年に国連サミットで採択された、17の最終目標(ゴール)と169の目標(ターゲット)が決められています。
SDGsは、内容全てが企業経営に直接的に関係するわけではありませんが、企業価値の向上や企業の持続と深く関係します。
SDGsと経営の関係
「SDGs」とは、2015年に国連サミットで採択された「Sustainable Development Goals」の略、日本語訳すると「持続可能な開発目標」といいます。持続可能な世界を実現するため、17の最終目標と、その下位目標にあたる169の目標により構成されています(詳細は、誌面の都合上、省略します。詳しくは、外務省など各省庁のWEBサイトでご確認ください)。
あくまで目標や指標であり、直接的な強制力はなく、内容全てが企業経営だけに直接関係するというわけでもありませんが、企業経営においては無視できない存在です。
SDGsとESG投資、PRI投資、 CSRの関係
「ESG投資」とは、環境(environment)、社会(social)および企業統治(government)を重視した投資といわれます。
従来の投資判断は売上高や利益などが重視されてきたのに対し、ESG投資においては環境、社会および企業統治への課題解決にどれだけ貢献するかという点が重視されるため、SDGsとも深く関係します。
そして「PRI(責任投資原則:Principles for Responsible Investment)投資」とは、国連が06年に提唱した投資に関する原則です。投資を通じて前記したESGの課題に対する責任を全うする際の原則であり、ESG投資を促進していくことになります。
昨今、CSR(企業の社会的責任:Corporate Social Responsibility)が重要視されていますが、SDGsは、このCSRの一環をなすことにもなります。
SDGsを取り入れた経営の必要性
SDGsを取り入れた経営の必要性について具体例を挙げながら説明します。
①新たな事業創出の観点
すでに広がっている太陽光発電事業ならびに風力発電事業やマイクロファイナンスもSDGsの一例といえます。SDGsを知らないとビジネスチャンスを失うことにもつながります。
②経営リスクの観点
SDGsに積極的に取り組む企業に対しては利害関係者から表彰が行われ、投資も増えるなど、企業には有益な影響があります。
逆に、SDGsを無視する企業経営は、リスク要因にもなりかねません。例えば、公害対策が不十分であることを理由に投資が控えられるということが起こり得ます。また、劣悪な労働環境に労働者を置くことや児童労働、その他労働力の搾取といわれるような行為が製造企業においてあった場合、利害関係者から反発を受けることも考えられます。また、かかる企業から製品を輸入販売した企業も同じく反発の対象となる可能性があります。
以上の通り、今後企業は短期的な売り上げや利益を追求するだけでなく、SDGsを経営に反映させることも必要です。両者は鋭く対立する場面もあることから、これらのバランスをとることが企業経営において求められると考えられます。 (弁護士・松林 司)
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