地域資源の魅力発信 10地域・2グループ表彰
日本商工会議所はこのほど、平成29年度「全国商工会議所きらり輝き観光振興大賞」に上田商工会議所(長野県)を選定した。同所はNHK大河ドラマ「真田丸」の放送をきっかけに、市民、行政、事業者を巻き込んだ〝オール上田〟で地域振興活動を展開した点が評価され大賞を受賞した。その他の各賞は、雪を活用した冬季観光商品・観光コンテンツを開発した新庄商工会議所(山形県)や青年部の提言により念願の都市型フルマラソンを実現した函館商工会議所(北海道)など、商工会議所ならではの強みやネットワークを活用した取り組みなどが評価された商工会議所が受賞した。表彰式は、10日に群馬県前橋市で開催された「全国商工会議所観光振興大会2017in前橋」で行われた。特集では、受賞商工会議所の取り組み概要を紹介する。
大賞
上田(長野県)
NHK大河ドラマ「真田丸」を最大限に活用した地域振興事業
上田商工会議所は、地域資源を活用した観光振興事業について、市民、行政、経済界が一体となって取り組むことが不可欠であるという観点から、NHK大河ドラマを最大限に活用した地域振興事業を〝オール上田〟で展開した。
平成21年に宮下茂・同所会頭(当時)を会長とする「NHK大河ドラマ日本一の兵真田幸村公放映の実現を願う会」を結成し、市民の機運を高め、地域が一丸となって署名活動を全国に展開。約84万人から署名を集めた。そして25年に大河ドラマ「真田丸」の放送が決定した。
26年には宮下会長の後を引き継いだ同所の栁澤憲一郎会頭が会長となり、「大河ドラマ「真田丸」上田市推進協議会」を組織。市民、行政、会議所が各々の役割を果たしながら、多くの観光客の皆さまを迎えるために、例えば同所女性会では〝おもてなし宣言〟を行った。また、関連商品の開発や販路拡大、街なか回遊事業などを行い、リピーターとなってもらう取り組みも実施した。その結果、28年放送の「真田丸」効果による上田市での消費総額は67億9千万円となった(29年2月同市発表)。
放送終了後には、信州上田の知名度は大きく向上。同所ではこのチャンスを生かし、現在も観光振興策を積極的に展開している。
29年4月には、同市により大河ドラマ館跡に「よみがえる上田城特別企画展」が開催され、10万人超が来場した。また、「真田丸」で真田昌幸役を演じた俳優の草刈正雄氏を信州上田観光プレジデントに委嘱するなど、上田への観光客誘致を継続している。
28年には、上越商工会議所との連携による広域観光ルート「必勝祈願の旅~戦国武将真田氏・上杉氏ゆかりの地を巡る~」の商品化が実現し、292年も継続中。30年には武田信玄公ゆかりの地である甲府商工会議所とも連携し、観光事業の〝三国同盟〟を締結、事業展開を予定している。また、6次産業化事業「真田REDアップルパイ」開発や同所青年部による真田氏の家紋「六文銭」をモチーフにした新ロゴ〝組六紋〟を活用した商品開発なども積極的に展開しており、同所のチャレンジはこれからも続いていく。
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