日本商工会議所は7月19日、「夏季政策懇談会」を都内で開催し、三村明夫会頭はじめ、副会頭、特別顧問、常議員、議員、各委員会の正副委員長、専門委員長ら約200人が出席した。今回の懇談会の全体テーマは、「地域の未来を拓く民間の挑戦」。各地で深刻化している「人手不足」や「事業承継」などの経営課題に対し、どのような解決策が考えられるか、または商工会議所がどのような役割を果たすべきかなどについて議論を行った。(関連記事2面に)
人手不足、事業承継議論
夏季政策懇談会は、直面する重要政策課題に関する商工会議所の基本的な考え方やスタンス、商工会議所の役割・活動について、意見交換を行うことにより、商工会議所の活性化につなげていくことを目的に例年開催している。会合は、2部構成となっており、第1部では「人手不足、大事業承継時代の地方創生」をテーマに実施。冒頭にあいさつした三村会頭は、「人手不足や事業承継といった中小企業が直面する最も大きな経営課題に対して、どのように取り組んでいくべきか、また、日本経済は、マクロでは明るい兆しが見られるものの、その効果をいかに地方へ波及させ、地方創生の実現に結び付けていくかなど、商工会議所が取り組むべき課題は山積している」と述べ、商工会議所が地域をリードする存在となるよう呼び掛けた。
人手不足への対応については、出席者から「人口減少が顕著な地方で特に深刻化しており、また、働き方改革への対応も必要。女性や高齢者などに活躍してもらえるよう、仕事内容の見直し、環境整備に取り組んでいくことが重要」「IT・IoTなどの活用について、小規模企業でも活用できる、身近でやさしい事例を紹介することによって、活用を推進することが重要」といった意見が出された。
また、事業承継については、「経営者に身近な存在である商工会議所が、事業が衰退する前に早めに相談するよう呼び掛けるなど、経営者に『気付き』を与えることが重要」「非上場株式の評価方法の見直しと、事業承継税制の抜本的な改正が必要」などの意見が寄せられた。
もう一つのテーマである「地方創生」に関しては、地方創生実現の切り札となる「観光振興」や「農林水産資源の活用」に向けて、これらの基盤となる「まちづくり」や「社会資本整備」の推進に向け、商工会議所が取り組むべき課題などについて議論が行われた。出席者からは、「地方創生には行政・首長の熱意やリーダーシップが必要だが、首長を動かし応援する商工会議所の役割も重要」「商工会議所は行政、地域の関係機関との連携や広域での商工会議所同士の連携を進め、地域経済の好循環・活性化に取り組んでいくべき」などの提案がなされた。
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