日本商工会議所は7月17日、「平成27年度地域活性化・中小企業関係施策に関する意見・要望」を取りまとめ、政府・政党など関係各方面に提出。27年度予算への反映を目指す。
以下は要望の骨子。
Ⅰ.地域の付加価値創造による「地域の活性化」を
1.地域の力を結集した新たな産業の創出・育成
(1)マーケット重視の新製品・サービス開発を、地域を挙げて支援する拠点の整備
①地域の公設試験研究機関、大学、高等専門学校、研究機関、金融機関や支援機関が連携して支援する拠点の形成と、技術とマーケットに精通した支援人材(コーディネーター)の確保など
(2)農林水産業をはじめとする地域資源を活用した「地域ブランド」の確立への支援
①6次産業化など農林水産資源の活用促進
②地域資源を活用した商品などの試作品販売・販路確保支援事業(地域資源応援プロジェクト(仮称))の創設
③地域資源のブランド化促進への支援の拡充
④地域団体商標制度の料金減免制度の対象拡充
(3)地域経済に広く波及効果を有する観光振興の推進(国内観光・インバウンド)
①「国内観光」の振興
②インバウンドの促進
2.外需を呼び込み、域内経済循環の中核となる中堅・中小企業を支援
(1)プロジェクトの牽引役となる中堅・中小企業を核とした連携事業に対する支援
①中堅・中小企業と大学、研究機関などの広域連携・取引ネットワーク構築を推進する組織・人材(コーディネーター)の設置
②中堅・中小企業を核とした産学官連携による研究開発の推進
③大学発の研究シーズの掘り起こしと中小企業への技術移転・事業化につながるマッチング事業の支援
(2)中小企業の規模を超える中堅企業に対する支援
3.地域の価値を高めるまちづくりの推進
(1)コンパクトシティの取り組みの裾野の拡大
①小規模都市での中心市街地活性化の取り組み促進
②中心市街地活性化の中核人材の育成・確保と推進主体の機能強化
(2)まちのにぎわい創出に向けた大規模小売店舗立地法の見直し
①大型店の撤退に関する規定の創設
②大型店の地域貢献活動についての規定の創設
(3)地域の課題解決の新たな取り組みによる地域商業の再生
(4)少子化対策、交流人口拡大に向けた地域の取り組みへの支援
4.真に必要な社会資本整備による地域内外の人流・物流の促進
(1)真に必要な社会資本整備の促進と修繕・補修による安全性確保
(2)「低価格・シンプル・安定的」かつ「人と物の流れを最適化」する高速道路の料金制度の構築
(3)まちづくり戦略と一体となった、地域公共交通の維持・再生促進
Ⅱ.地域経済を支え、イノベーションの源泉となる「中小企業の活力強化」を
1.創業、中小企業の経営資源確保、事業承継などの支援
(1)創業・第二創業の促進と創業後のフォローアップの充実化
①創業希望者と後継者難の事業者とのマッチング支援の促進
②創業者の試作品販売・販路確保支援事業(創業応援プロジェクト(仮称))の創設
③創業手続きのワンストップ化
④創業希望者を増やす取り組みへの支援拡充
⑤創業支援策の安定的な実施
⑥創業時の負担軽減(税、社会保険料)
(2)成長に向けた経営資源の確保
①若者・女性の中小企業での活躍支援
②多様なニーズに対応した資金調達の円滑化
(3)事業承継・引継ぎ、事業再生などの早期検討の促進と支援の拡充
①事業承継・引継ぎ支援の拡充
②金融機関の事業再生への主体的な取り組みの促進、円滑な廃業に向けた支援
2.中小企業の新分野進出に向けた支援
(1)成長分野への進出や生産性向上に向けた科学技術の活用・研究開発支援
①3Dプリンター、スーパーコンピューターなどの活用支援の拡充
②中小企業技術革新制度(SBIR)の拡充
③知的財産の活用などを後押しする支援拡充
④売上・生産性向上に向けたITの利活用に対する専門家相談などの拡充
(2)海外需要の獲得の後押し
①海外への販路開拓の支援の継続・拡充
②海外展開を担う人材の確保・育成に対する支援の拡充
③ODAにおける中小企業の活用推進など
④中小・中堅企業の海外展開に資する、TPPなどの広域経済連携協定の推進
⑤海外の特許などの取得・維持および模倣品・海賊版などの知的財産侵害対策への支援
3.小規模企業の経営力向上と支援機能強化
(1)小規模企業施策の計画的・安定的な実施
①小規模企業の「持続的発展」を図るための5カ年計画の策定・安定的な実行、小規模事業者持続化補助金の継続・大幅拡充
②小規模事業者経営改善資金融資(マル経融資)制度のさらなる拡充
③「施策マップ」の活用促進
(2)商工会議所を中核とした支援体制整備の推進
①商工会議所が取り組む経営改善普及事業予算の安定的な確保・増額に向けた都道府県への働きかけの強力な実施および地方交付税など国の支援の拡充、「経営発達支援計画」の実行を促す支援策の創設など
4.中小企業の基盤強化・事業環境整備
(1)消費税、原材料価格などの円滑な価格転嫁と中小企業の仕事確保など
①消費税率引き上げに伴う価格転嫁対策の徹底
②原材料価格などの円滑な価格転嫁を図るための「下請法」の厳格な運用
③中小企業の官公需受注機会の十分な事業枠の確保と確実な実行
④独占禁止法審査手続きの明確化・適正化
⑤中小企業の会計に関する基本要領(中小会計要領)の普及・推進
⑥経営力向上につながる専門家相談・派遣の拡充
(2)安全性を前提とした低廉かつ安定的な電力・エネルギー供給の実現
①「安全が確認された原子力発電の再稼働」の早期実現
②再生可能エネルギー固定価格買取制度の見直し
③中小企業の省エネ支援策の拡充
(3)企業活動を阻害する公的負担の軽減、中小企業の負担増となる税制改正は断固反対
①社会保障制度の重点化・効率化を軸とした改革推進、中小企業の負担軽減
②国際競争力強化のための法人税率引き下げ
③外形標準課税の中小企業への適用拡大などは断固反対
④複数税率・インボイス導入断固反対
Ⅲ.東日本大震災からの本格復興と福島再生の早期実現を
1.復興加速の基盤となる支援の強化
2.中小企業の経営再建の加速化への支援
3.福島再生に向けた早急かつ着実な支援の実施
(7月17日)
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