Q 当社は、小売業を営んでいますが、この夏、地域が集中豪雨に遭いました。これまで風水害に対する備えはほとんどしていませんでした。今後どのような対応を考えればよいでしょうか。被災時に受けられる支援についても教えてください。
A 風水害は、地震とは異なり、台風や豪雨に関する気象情報などから予想される事態に備えることで被害を最小限に止めることができます。警戒レベルに応じて事前の対策や有事の行動を決めておきましょう。閉店や避難の判断も早めが肝心です。公的支援の内容は被災の規模などにより異なりますので、自治体などが発信する支援情報を適宜確認するようにしてください。
風水害のリスクと事前の備え
近年、台風や大雨などによる、洪水や土砂崩れで、交通網や経済活動に大きな打撃を与える自然災害が発生しています。被災し、事業継続が困難となる企業も少なくありません。こうした風水害のリスク対策では、多くの企業が想定している地震対策とは異なった対応が必要です。まず、ハザードマップを入手し、自社周辺の危険度を把握しておくこと、そして洪水発生時に想定される事態に備えて次のような事前対策を講じ、有事の行動を決めておくことです。
①店舗や設備の安全対策
地震同様に設置物の転倒や倒壊、店舗の窓ガラスの飛散対策に加え、建物や設備の浸水対策、漏電対策を実施する。
②仕入れ先や取引先の確保
仕入れがストップしないよう仕入れルートの分散などで早期に事業を再開する体制を整える。
③従業員の安否確認
緊急時の従業員との連絡方法(電子メール、SNSなど、複数の手段)を一覧化し周知する。
④来店者の避難誘導
防災情報に基づく店舗の営業状況の告知、来店者の誘導手順などを整理する。
⑤重要データの保管
PCにある重要なデータは、日常的にバックアップをとり、浸水を受けない場所に保管する。 台風や大雨が近づく際の気象情報、自治体が発信する警戒レベルなどの防災情報に留意して、早めの閉店や避難を判断することが被害の未然防止につながります。
被災時の対応
被害を確認した上で復旧に向けた準備を順次整えていきます。
①被害状況の確認
従業員の身の安全の確保後、人員を招集し、店舗内の点検、周辺の被害状況の確認を進める。
②事業再開に向けた準備
事態が収まったら事業再開に向けて復旧作業の計画を立てる。修理などが必要なところは応急的な手当てを行って業者へ依頼。地域の被災状況や交通状況などを把握し、事業の影響を検討する。
被災企業に対する公的支援
被災の規模や範囲により国や自治体の支援が受けられます。
【災害救助法の適用に基づく支援】
①特別相談窓口の設置
政府系金融機関などの臨時窓口で相談可能
②災害復旧貸付の実施
別枠の限度額で災害復旧のための運転資金または設備資金を融資
③セーフティネット保証4号適用
信用保証協会が一般保証とは別枠の限度額で融資額の100%を保証
④既往債務返済条件緩和等の対応
政府系金融機関などが返済猶予などの既往債務の条件変更、貸出手続きの迅速化などに柔軟に対応
⑤小規模企業共済災害時貸付の適用
中小機構が原則として即日で低利で融資
【激甚災害法の指定に基づく支援】
①政府系金融機関による災害復旧貸付の金利引下げ
②災害関係保証の特例
昨年7月の豪雨災害で指定や適用を受けた地域の被災企業にはさまざまな支援策が講じられました。こうした支援情報は自治体や関係機関が逐次発表するので、関連するHPなどで確認しましょう。 (中小企業診断士・竹内敏則)
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