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テーマ別企業事例 地域企業と状況を把握しているから強い! 続・商工会議所の底力

コロナ禍は、まだ収束が見えてこない状況にあり、各地域の企業の苦境も続いている。こうした状況に対して全国各地の商工会議所も地域の特色に合わせたさまざまな対策を立て、迅速な対応を取っている。地域の企業や地域の特色・状況をしっかり把握している商工会議所だからこそできる“新型コロナに負けない”取り組みを追った「商工会議所の底力」、9月号に次いで第2弾!

事例1 県産牛肉と豚肉の特製弁当で高校3年生1万人を応援

宮崎県商工会議所連合会(宮崎県宮崎市)

宮崎県内の高校3年生約1万人に、宮崎牛などの県産品を使った特製弁当を配布する一大プロジェクトを、宮崎県内21団体・企業からなる「みやざき元気実行委員会」が実施した。旗振り役は、宮崎県内9商工会議所が結集した宮崎県商工会議所連合会(宮崎県連)。8月27日から約10日間、県内全66校が次々に沸いた。

「コロナ禍で決断力が問われる機会が増え、身が引き締まる思いです」と語る春山豪志副会頭

高校3年生をお弁当で激励し、同時に県内畜産業者を支える

全国高等学校野球選手権大会(夏の甲子園)の中止に対する、球児たち、とりわけ今年最後の夏を迎える高校3年生らの衝撃、落胆は計り知れない。「何か励ますことはできないか」と、宮崎商工会議所の会頭で宮崎県連会頭の、米良充典さんが高校3年生の球児対象の焼き肉大会を発案したことから、特製弁当プロジェクトが動き出した。

「まだ大勢で集まれる状況ではありませんし、球児だけではなく、来春の進学や就職の不安を抱える高校3年生全員を対象にしてはどうかと、会頭を交え、県産品の特製弁当で応援するという企画案がまとまっていきました」

そう語るのは同所の副会頭を務める春山豪志(つよし)さん。この企画立案からの行動が早く、宮崎県商工会議所連合会、宮崎県スポーツ協会、県教育委員会など県内21団体・企業でつくる「みやざき元気実行委員会」が、プロジェクトの中枢を担った。組織が大きくなるほど意見をまとめるのに時間がかかるものだが、同委員会は約2日間で各団体、企業の合意を得る。宮崎県スポーツ協会会長でもある春山さんが代表を務め同委員会が始動したが、春山さんは「事務方の迅速かつ的確な対応があってこそ」と強調する。

特製弁当は高校3年生を元気づけることが目的だが、同時に低迷する県内畜産業者、農業従事者を支援する狙いもある。お弁当のメニューは宮崎牛の焼き肉、宮崎ブランドポークのとんかつをメインとし、ご飯も宮崎県産米で通常の約2倍の300gとボリューム満点。弁当単価は1500円相当で、費用は少なく見積もっても約2500万円となったが、同委員会の構成団体や企業などからの寄付金、県民からの応援金を募ったところ、県の補助金を含め総額3000万円強が集まり、予算の不安を払拭(ふっしょく)してプロジェクトは走り出した。

1万人の生徒全員が喜ぶ安心・安全なお弁当を届ける

お弁当の食材は、宮崎牛・宮崎ブランドポーク・宮崎県産米のみを指定し、宮崎県商工会議所連合会を通じて弁当・仕出し業者に声を掛けた。約100件の業者が名乗り出たが、同所で精査して約40業者に絞り込み、8月27日から10日間にわたり全66校に届くように手配を進めた。

「8月27日から始めたのには意味があります。10年前のこの日は、家畜伝染病『口蹄疫(こうていえき)』の終息宣言がなされた日です。宮崎県民にとっては忘れ難い日に、かねて生徒に口蹄疫の被害とともに、命の尊さ、命をいただく意味を語り継ごうという計画がありました。特製弁当の配布は、口蹄疫の終息10周年記念、県産牛肉や豚肉の消費促進の意味合いもあります」(春山さん)

特製弁当で生徒を励ますとともに、低迷、停滞する地域経済を動かす起爆剤として、このプロジェクトの価値は大きい。成功への期待値が高まるなか、細心の注意を払ったのが衛生面だ。お弁当を製造する業者を厳選したのもその一つだが、学校側にも、弁当配布指定日の昼食時のみの配布とし、教室外の持ち出しや欠席者への引き渡しは不可などのルールを徹底した。

さらに生徒に喜んでもらえなければ意味がない。食べ盛りとはいえ、嗜好(しこう)や体質、体格など千差万別だ。なかには肉を受け付けない生徒もいる。そこで特製弁当以外に幕の内弁当を用意し、事前登録で対応できる体制を整えた。希望者は約1万人の生徒中63人ほどだったというが、一大プロジェクトでありながら、少数派の意見も取りこぼさない対応には目を見張る。

「コロナ前から県内35カ所ある商工会をはじめ、県や市とのリレーションがしっかりあったからこそ、コロナ禍でも一丸となって対応できたといえます。宮崎は農畜産業、観光業が基幹産業ですが、どちらもコロナで深刻な影響が出ています。まだ終息のめどが立ちませんが、組織トップの決断力、事務方の実践力で窮地を乗り切りたいと思います」と春山さんは意気込む。

同連合会は今後、会員企業の個別相談をいっそう強化するとともに、農林水産省が進める「Go To Eatキャンペーン」との連携など、地域経済の回復、活性化に向けた対策に拍車を掛ける。

21団体・企業が一致団結し、迅速に対応する機動力は、コロナ禍でさらに強化され、地域経済の新たなうねりを呼び起こしつつある。

会社データ

宮崎県商工会議所連合会

所在地:宮崎県宮崎市錦町1-10 宮崎グリーンスフィア壱番館(KITEN)7階

電話:0985-22-2161

HP:https://www.miyazaki-cci.or.jp/

※月刊石垣2020年11月号に掲載された記事です。

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