事例5 「made in 桐生のマスク」でピンチをチャンスに!
桐生商工会議所(群馬県桐生市)
桐生商工会議所は、新型コロナウイルスの影響によるピンチをチャンスに変えるべく、「繊維のまち」の特色を生かした手づくりマスクの製造・販売・PRを進めてきた。その反響を受けて今、マスクのブランド化と海外を含めた新たな販路開拓に取り組んでいる。
素材もデザインもバラバラの手づくりマスクが大反響
桐生市は、1300年近い歴史を持つ繊維製品の産地であり、現在も繊維産業は基幹産業の一つである。その特色と技術を生かし、手づくりマスクの製造・販売で、元気をなくした地域産業の起爆剤にしようと取り組んでいるのが、桐生商工会議所だ。
同所では、1月の終わりに経営相談窓口を開設し、事業者の相談に乗ってきた。特に打撃が大きかったのは飲食・宿泊・観光業だが、繊維業者全体の8割以上から「資金繰りが苦しい」という声を聞いた。
「融資に関しては持続化給付金で対応したものの、この苦境を乗り越えるためのさまざまな経営切り口を検討する中、浮上したのがマスクでした」と同所総務課主任の角田欣巳さんは説明する。
きっかけは、「まちで手づくりマスクを販売している店がある」という情報だった。ほかにも同じような事例はないかとリサーチしたところ、10社を超える繊維業者が独自に手づくりマスクをつくっていることが分かった。
「その事業者をホームページで紹介したところ、製造業者がどんどん増えていきました。それを受けて『コロナのピンチをチャンスにプロジェクト』を立ち上げ、手づくりマスクのPRや販路拡大に取り組み始めました」
現在、同プロジェクトに参加している製造業者は約40社に上る。それぞれが扱っている織物の技術を生かし、素材もデザインもバラバラだが、機能性だけでなくファッション性にもこだわっている。このまちを挙げた取り組みがNHKの番組やさまざまなメディアで取り上げられると、全国から問い合わせが殺到した。
この現象を一過性のものにしないために、同所は現在、「桐生のマスク」のブランド化事業に取り組んでいる。また、ウェブサイトを充実させて、海外を含めた販路の開拓にも乗り出す予定だ。
「コロナ禍でマスクに世界の注目が集まりました。これを機に、『繊維のまち』として桐生の魅力も発信し、まさにピンチをチャンスに変えていきたい」と角田さんは意欲を燃やしている。
会社データ
桐生商工会議所
所在地:群馬県桐生市錦町3-1-25
電話:0277-45-1201
HP:https://www.kiryucci.or.jp/
※月刊石垣2020年11月号に掲載された記事です。
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