事例2 『俺についてこい!』 男気/女気地域貢献商品券 20%の寄付金で飲食店を応援
日向商工会議所(宮崎県日向市)
新型コロナウイルスで大打撃の飲食店を救うべく、日向商工会議所が独自に打ち出したのが「『俺についてこい!』男気/女気地域貢献商品券」だ。この商品券で支払われた飲食店は、同所で換金する際に20%多い金額を受け取れる。‶逆転の発想〟で地域を救う。
販売期間約5カ月の商品券が発売わずか2週間で完売
コロナ禍で多種多様なプレミアム商品券が発行される中、日向商工会議所が販売した「『俺についてこい!』男気/女気地域貢献商品券」はとりわけユニークだ。この商品券は額面総額1万円(500円券20枚セット)を1万2000円で購入する。購入者が得をするプレミアム商品券は数多いが、実質2000円を購入者が負担するのだ。発案者の同所会頭、三輪純司さんは言う。
「一刻も早い地域経済の回復を目指すには、消費者よりも事業者が優先。地域が一体となった共助の取り組みが必要です。業績不振でうつむく飲食店が多いなか、当所が地域の応援団として大きな声を出して先頭に立つ。そんな気概を持ったネーミングで、『俺=商工会議所』の思いを込めた商品券です」
三輪さんの熱弁に、会員事業所、議員、市民団体から「ひと肌脱ごう」と1口乗った、2口乗ったと声が上がり、商品券は6月2日発売にこぎ着ける。発売前の5月29日にNHKの「あさイチ」で全国放送されると、市内だけではなく、市外からもチケットを買い求める人が現れるほど話題になり、参加店舗も和食店、居酒屋、スナックを中心に市内130店に上った。次第に、現金よりも商品券で支払う機運が広がっていく。
消費者還元が主流のプレミアム商品券の逆をいく、事業者還元の商品券だが、ふたを開けると500セットを10月末まで販売するところをわずか2週間で完売し、急いで300セットを追加販売する盛況ぶりだ。地域にもともと根付いていた共助の精神が、商品券というしくみと合致し、地域経済に新風を巻き起こす結果となったようである。
商品券販売後も、7月17日には市内の約30の飲食店とタクシー会社5社が連携して「日向市タクシーデリバリー協会」が発足し、4㎞圏内であれば商品代に送料300円を加えて宅配するサービスが始まっている。
「コロナ禍は商工会議所の力が試される試練と捉えています。論語の『義を見てせざるは勇なきなり』の精神で、これからも地域に有効な対策を打っていきます」と三輪さん。コロナ禍で新規会員を15〜16者増やすなど、ピンチをチャンスに、商工会議所としての存在価値を高めている。
会社データ
日向商工会議所
所在地:宮崎県日向市上町3-15
電話:0982-52-5131
HP:http://www.miyazaki-cci.or.jp/hyuga/wp/
※月刊石垣2020年11月号に掲載された記事です。
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